8 ため池災害①

 今回からため池ハザードマップです。
 ため池ハザードマップは、大雨や地震などにより、ため池の堤防(堤体と言います)が決壊しそうになるなど危険な状態になった時に、ため池の周辺に住んでいる人の自主的な避難行動を支援し、被害の未然防止や軽減を図ることを目的として作成された地図です。

 

 宇部市には、800近いため池があり、約160の「防災重点ため池」があります。この「防災重点ため池」とは、ため池が決壊した時に、その浸水区域に家屋や公共施設が存在し、人的被害を与えるおそれのあるため池のことです。
 宇部市は現時点で「防災重点ため池」のうち69か所を対象にため池ハザードマップを作成して、宇部市のホームページなどに公表しています。残りの防災重点ため池についても、今後ハザードマップの作成を行う予定ということです。
 ということは、現在のため池ハザードマップの対象となっている69か所のため池以外のため池も浸水が起こる可能性があるということを意味します。自宅の上流にため池がある人は十分注意をしましょう。
 宇部市ため池ハザードマップの最初にリストアップされている小野地区の「萬生池(ばんしょういけ)ため池」のハザードマップの一部を図に示します。

 

8 ため池災害①

図 萬⽣池ため池ハザードマップより

 

 図の左側(北側)に萬生池があり、谷筋に沿って右側(南側)に水が流れていく様子が分かります。図には、色分けした浸水深さ(水色は0.5m未満、青色は0.5m~1.0m未満、緑色は1.0m~2.0m未満、黄色は2.0m~5.0m未満で黄色はため池のすぐ下にあります)とともに、赤い破線で、何分で水がそこに到達するかも記載してあります。
 ハザードマップには、これら浸水深や浸水到達時間のほかにも、気象情報等の入手方法 、ため池決壊のメカニズム、避難情報や気象情報の伝わり方などの貴重な情報が提供してあります。メカニズムは後回しにしても、まずは避難情報や気象情報の伝わり方、情報の入手方法はしっかりと確認しておきましょう。
 宇部市の「ため池ハザードマップ」は令和2年6月11日に、すなわち、つい最近更新されています。この背景には、一昨年の「平成30年7月豪雨」、すなわち西日本豪雨災害において32のため池が決壊し、人的被害が出たところが1か所、家屋等の被害が出たところも3か所あったということがあります。
 これを受けて、国(農林水産省)、県、市を挙げて全国のため池の点検がなされています。県もその結果を公表しています。そしてそれを受けて宇部市も迅速にハザードマップを作製、公表した、という経緯がありうます。この国、県の動きについては、次回書きたいと思います。

 

2020年7月2日

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