防災・減災のススメ

防府日報に連載中です。

記事一覧

1.新しいシリーズをはじめるにあたって 1995年の阪神・淡路大震災から3か月後の4月、山口県は防災会議(会長:知事)の下に地震対策専門部会を設置し、県の地震に対する防災計画の抜本的見直しを始めました。 私はその部会長に就任し、その第一歩として、地震被害想定を急ぎ行いました。 以来3回地震被害想定を見直し、その結果は県の地域防災計画「地震対策編」に反映されています。 地震被害想定が一段落したタイミ...

1.西日本の地震活動 図-1は江戸時代以降の西日本の地震活動を示したものです。 図の左側に地震がたくさん起こった時期が、右側にあまり地震が起こらなかった時期が示してあります。 地震のたくさん起こる時期を「活動期」と呼び、あまり起こらない時期を「静穏期」と呼びます。 このように西日本は地震の「活動期」と「静穏期」が交互に繰り返し起こっています。 「活動期」の最後には、例えば1707年の宝永地震のよう...

1.西日本各地の震度分布 南海トラフの巨大地震が起こった時の防府市の震度や津波については、この前のシリーズ「防災マップ深読み(その13~21)」に書いていますが、今度は少し違う観点から説明していきたいと思います。 図-1は国によって示された、南海トラフ巨大地震が起こった時の西日本の震度分布です。 これより分かるように、伊豆半島の西部から宮崎県に及ぶ非常に広い範囲の太平洋沿岸で震度6強、場所によって...

1.地震が起こった場所 この前のシリーズ、「防災マップ深読み」の「その15、16」で、いつ起こってもおかしくない地震として、「南海トラフの巨大地震」と「安芸灘・伊予灘の地震」を挙げ、防府市における震度について書きました。 図-1は安芸灘・伊予灘で発生したマグニチュード(M)6以上の、記録が残っている地震の震央です。 大きな〇はM7クラス、小さい〇はM6クラスです。 M7クラスの地震が5つ、M6クラ...

1.防府市の震度分布 安芸灘・伊予灘の地震がいつ起こってもおかしくないのか、その理由を先週書きました。 この前のシリーズ「防災マップ深読み」の「その15、16」でも紹介しましたが、図-1は安芸灘・伊予灘の地震による防府市の震度分布です。 市の大半が震度5弱、山地で震度4となっています。 ここで注意が必要なのは、この図は500mx500mメッシュ(範囲)の平均の震度です。 地震による揺れは地盤条件や...

1.情報の重要性 地震は突然やってきますが(ですからいつ起こっても大丈夫なように、日ごろからの備えが重要になります)、台風や豪雨などの気象災害はあらかじめテレビやラジオ、新聞等で報道されますので、いつ頃どのような災害が起こりそうかは事前に分かります。 しかしこれらの報道は範囲が広くて、自分の住んでいるところの情報は詳しく報道されることはあまりありません。 このようなときには、自分で積極的に情報を取...

 台風が近づいたり大雨が降りそうなとき、まず私が見るのが「山口県土木防災情報システム」です。 図は「山口県土木防災情報システム」のホームページです(9月24日現在のトップページ)。 左側に『気象情報』があり、上から、「レーダー情報」のボタンがあります。 ここの「詳細情報へ」をクリックすると気象庁の気象レーダーの観測結果が5分ごとに更新されて表示されます。 どこにどれくらいの雨が降っているかを見るこ...

 12年前の平成21年(2009年)7月中国・九州北部豪雨で防府市は土砂災害によって大変な被害を受けました。 防府市内の山地はもともと雨に弱い風化花崗岩(真砂土)に覆われていて、記録的な豪雨によって大規模な土石流が多くの谷筋で発生しました。 そこで、今週は「山口県土木防災情報システム」の「土砂災害」の見方を紹介したいと思います。 同システムトップページの「土砂災害」のボタンの「土砂災害ポータル」を...

 先月9月17日の夜、台風14号が山口県へ最接近しました。 事前には最接近と満潮時が重なる可能性があるので、高潮に注意、と報道されていましてので、私は「山口県土木防災情報システム」の「潮位情報」を見ていました。 図の左側は17日19時45分時点での「潮位情報」の宇部港における「潮位・気圧」の画面です。 図にはそれまでの潮位の変化、気圧の変化、これからも含めて天文潮位の変化、併せて高潮警報基準、高潮...

 2021年のノーベル物理学賞を真鍋淑郎氏が受賞され、大いに喜ぶとともに、驚きも感じました。 正直、「え、こんな研究がノーベル物理学賞の対象に!?」という驚きです。 ノーベル物理学賞と言えば、物質を構成している素粒子のそのまた元となる超超極微の世界の究明とか、宇宙の誕生に迫る何百光年という想像もできないスケールの中のこれもまた超超極微の物質の運動など、巨大な装置やお金をかけたビッグサイエンスでない...

 先週は、今月7日の夜10時過ぎに関東地方で起こった地震がイヤーな、本当にイヤーな地震だということを書きました。 その原因は、すぐに私の頭に首都直下地震のことが浮かんできたからです。 想定されている首都直下地震のマグニチュード(M)は7クラス。 先日の地震のMが5.9でしたので、地震のエネルギーは30~100倍にもなります。 従ってこの首都直下地震が起これば、首都圏はもちろん大変なことになりますが...

 首都直下地震の候補として19の地震を対象に被害想定を行い、それら19の地震の中で最も被害が大きいのが、「都心南部直下地震」であること、そしてその地震が起こった時には、地盤の柔らかい東京湾の沿岸部、そして荒川水系や多摩川水系周辺では内陸の方まで高い震度が分布していること、等を先週書きました。 この地震が「冬・深夜」(多くの人が寝ている時間帯)、「夏・昼」(多くの人が町中にいる)、「冬・夕」(火を多...

 前回は、首都直下地震のうちで最も被害が大きいと想定されているのが「都心南部直下地震」で、この地震が「冬・深夜」、「夏・昼」、「冬・夕」の3つの時間帯に起こった時の死亡の原因ごとにまとめられた表を示しました。 そして死者数合計の数字に壊れた建物などに閉じ込められて自力脱出が困難な人の数を加えると、「冬・深夜」で約90,000人、「冬・夕」で約81,000人、最も少ない「夏・昼」でも約60,000人...

 日曜日の夜、「日本沈没」というドラマをやっていて、ブチブチ言いながら見ています。 地球物理学的にも、現在の地球観測システムとその運用に関しても、あまりにもあり得ないことがベースになっているからです。 SF(Science Fiction)ではなく、人間の確執ドラマですね。 第一波だけで関東沈没は終了。 早速復旧復興に取りかかり始めた矢先、だいぶ変わった地震学者の先生から、今度は名古屋方面が沈没、...

 日曜日の夜のTV番組「日本沈没」に触れ、日本及びその近海には、国の省庁、研究機関、大学が非常に多くの地震をはじめとする各種の観測ネットワークを展開していて、多くの研究者が観測に関わっており、一人の研究者だけに情報が集中するということはあり得ない、と書きました。これから少し具体的に観測に関する最前線のお話を。 まず宇宙から。 地球を観測する衛星が多くの国から打ち上げられています。 人工衛星に搭載さ...

 先週は人工衛星で地球を観測するセンサーには二種類あることを説明しました。 一つは「光学センサー」といって、太陽光の反射波のうち可視光、すなわちR(赤)G(緑)B(青)と言われている光の三原色、および赤外線を観測するセンサー、もう一つは「マイクロ波センサー」といって、人工衛星自身がマイクロ波を地上に向けて照射し、その反射波を観測するものです。 それぞれ長所と短所があり、実際にはこれらを組み合わせて...

 先週はJAXAが今年度中に打ち上げ予定の「だいち3号」が南海トラフ巨大地震の観測を念頭に置いて、一度の軌跡(パス)で非常に広い範囲の観測、すなわち南海トラフの巨大地震で被害が大きい太平洋沿岸の広い範囲を撮影できるように設計されていること、あわせて、空間解像度が80㎝ということも書きました。 空間解像度が80㎝ということはどのくらいかということを図に示します。 図の左が「だいち」の画像で、空間解像...

 先週はJAXAが今年度中に打ち上げ予定の「だいち3号」が南海トラフ巨大地震の観測を念頭に置いて、一度の軌跡(パス)で非常に広い範囲の観測、すなわち南海トラフの巨大地震で被害が大きい太平洋沿岸の広い範囲を撮影できるように設計されていること、あわせて、空間解像度が80㎝ということも書きました。 実は、JAXAは「だいち4号」という現在運用中の「だいち2号」の後継機も来年度打ち上げの予定です。 「だい...

 明けましておめでとうございます。 昨年は拙稿「防災・減災のススメ」をお読みいただき有難うございました。 今年も少しでも皆さんの防災力向上に直接的、あるいは間接的にお役に立つようなことを書いていきたいと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。 さて、昨年末は宇宙航空研究開発機構、JAXAの地球観測衛星データの防災への活用について書いてきました。 すなわち宇宙からの観測でしたが、これから全く視点...

 南海トラフで起こる巨大地震を一刻でも早くキャッチして、人々の避難を促すための地震と津波の観測ネットワーク、「DONET」の内容をもう少し詳しく紹介しましょう。 「DONET」には、紀伊半島沖東部に展開されている「DONET1」と、紀伊水道沖に展開されている「DONET2」があり、開発と設置は海洋研究開発機構(JAMSTEC)が行なったことは前回書きました。 「DONET1」は2011年7月から2...

 これまで2回にわたって、海洋研究開発機構が開発と設置をし、防災科学技術研究所が運用を行っている「DONET1」と「DONET2」という地震と津波の海底観測システムの紹介をしてきました。 15日を中心にトンガ王国で大規模な火山噴火が起こり世界を驚かしましたが、この噴火によって我が国にも津波が押し寄せてきました。 津波の高さそのものは1m前後でしたが、多くの船が転覆したり、養殖いかだに大きな被害を与...

 トンガ大国の大噴火で起こった津波が特殊な原因で起こったようだ、と先週書きました。 火山の大噴火によって衝撃波が起こり、空気が振動して、その振動(空振)が海面を押して波を起こした、というものです。 図はそのメカニズムを説明したものです。 直後に東北大学の津波の専門家である今村文彦先生が、「火山の爆発による空振と呼ばれる空気の圧力変化が海面変動を引き起こし、日本に伝わる過程で増幅されたと考えられる。...

 今回のトンガの火山の大噴火で気になることがあります。 それは火山の噴火が気温の低下をもたらすのいではないか、と言うことです。 1991年6月、フィリピン・ルソン島のピナツボ火山が大噴火を起こしました。 その規模と激しさは20世紀最大級と言われています。 その噴火によって大量の微粒子が成層圏に放出され、硫酸エアロゾル層を形成し、何か月間も残留しました。 この硫酸エアルゾルは太陽光を吸収する作用を持...

 去る1月22日(土)深夜の1時8分頃地震がありました。 震源は日向灘で、マグニチュードMは6.6、震源に近い大分県、宮崎県の県境付近の大分市、佐伯市、竹田市、延岡市、高千穂町で震度5強でした。 防府市は震度4でした。 この地震によってけがをした人は13人、家屋の一部損壊が1戸と報告されています。 亡くなった方がゼロだったということは不幸中の幸いでした。 実は、日向灘ではこれまでも地震が繰り返し起...

 今週は、先週最後に触れました「南海トラフ地震臨時情報」について書きたいと思います。 この「南海トラフ地震臨時情報」は、南海トラフ沿いで大規模な地震が起こる可能性が平常時と比べて高まったと考えられる場合に気象庁から出されます。 ここで、「大規模な地震が起こる可能性が平常時と比べて高まったと考えられる場合」とは、1月22日の地震のように比較的大きな地震が起こったときや、南海トラフの巨大地震を想定して...

 今週も先週に引き続き「南海トラフ地震臨時情報」について書きたいと思います。 この「南海トラフ地震臨時情報」は、M=6.8以上の地震が南海トラフ巨大地震の震源域で起こったり、大きな揺れや津波は生じないものの、プレートの境界がゆっくりずれる「ゆっくりすべり」などが観測されると、気象庁が「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」を発表し、「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」が招集され検討が行われます。...

 南海トラフで起こる地震には様々なパターンがあり、典型的なものとしては、想定震源域の半分くらいでまず地震が起こり、しばらくして残り半分で地震が起こるパターン(半割れ)、あるいは一部でまず地震が起こり、その後また残りのどこかで地震が起こるパターン(一部割れ)、といったものが考えられています。相手が自然ですからそのほかのパターンも考えられます。 このような場合には、M=8クラスの地震が起こったとしても...

 南海トラフで大きな地震が発生し、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」(以下「巨大地震警戒」)が、あるいは「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」(以下「巨大地震注意」)出された場合、引き続きM=8クラスの地震が起こる可能性があるので、その時私たちはどうすれば良いのか、ということを先週書きました。 この2月22日、大きな被害が予測されている高知県が「南海トラフ地震臨時情報について」という情...

 2011年3月11日に起こった地震は「東北地方太平洋沖地震」。 これは確かに11年前に起こった過去の出来事。 しかしながらその地震による災害、「東日本大震災」は過去のものではありません。 今も続いています。 この3月7~9日、仙台へ行くことがあり、9日はおよそ半日、レンタカーを借りて仙台空港周辺の岩沼市、名取市の“その後”の様子を見て回りました。 ここは地震から3か月たった2011年6月、初めて...

 3月16日の深夜、福島県沖を震源とする地震が起こり、宮城県と福島県の4市1町(登米市、蔵王町、相馬市、南相馬市、国見町)で震度6強が観測されました。 震源の深さは57キロ、マグニチュード(以下、M)は7.4、犠牲者は4名、負傷者は200名に上るとされています。 この地震は図-1に示すように、日本列島の下に沈み込んでいる太平洋プレートの内部で起こったと考えられ、東北地方太平洋沖地震によって周辺の地...

 3月16日の地震で私が驚いたのは、新幹線(東北新幹線「やまびこ223号」)が脱線したことです。 それも17両中16両が脱線、しかも高架橋にも被害が生じていたことです。 今回の地震よりはるかにエネルギーの大きい(約250倍)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の時には新幹線は脱線しませんでしたし、高架橋も被害はありませんでした。 東北新幹線には図に示すように、主な地震対策が3つあります。 一つ目は...

 先月25日、政府・地震研究推進本部から「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価」(第二版)が発表されました。 この長期評価は、「日向灘」、「南西諸島周辺」など西日本、奄美諸島、沖縄、台湾へ続く6つの領域の地下で将来起こる可能性のある地震の規模(マグニチュード)と、その発生する確率を示したものです。 この領域の地下ではフィリピン海プレートがユーラシアプレート(大陸プレート)の下に潜り込んで...

 明和の大津波の遡上高が二十八丈二尺(現在の高さにすると85.4m)という記録が残っているので、実際にどのような地形でそのような遡上が起こったのか金折先生と石垣島を車でめぐりました。 津波が石垣島を襲ったのは島の南東方向からで、島の南東部は海岸から比較的なだらかに標高が高くなっている地形で、良く津波が局所的に遡上するような渓谷のような地形はありません。 従ってある所だけ極端に津波が遡上することは考...

 この3月25日、政府・地震研究推進本部から「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価」(第二版)が公表されたことは「その32」で少し触れました。 今週と来週はその内容について紹介したいと思います。 この調査評価は、日本及びその周辺の海域をいくつかのブロックに分けて、そのブロックごとにそこで起こった過去の地震を調査し、今後どの程度の大きさ(マグニチュードM)の地震がどれくらいの確率で起こるか...

 今回も前回に引き続いて、政府・地震研究推進本部:日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動長期評価(第二版)のうち、図の「安芸灘~伊予灘~豊後水道」、「九州中央部」、「南西諸島北西沖」の評価結果を紹介します。 まず防府市に最も影響のある「安芸灘~伊予灘~豊後水道」から。 この海域では1600年以降の422年間にM6.7以上の被害地震が7回発生。 422÷7=60.3で、発生頻度を60.3年に1回として...

 前回、山口県にとって、「安芸灘~伊予灘」のM7クラスの地震と、「南海トラフ」のM8クラスの地震はいつ起こってもおかしくないので備えておく必要がある、と書きました。 今回は「安芸灘~伊予灘」のM7クラスの地震についてもう少し詳しく説明します。 山口県、広島県、愛媛県、大分県で囲まれた瀬戸内海の「安芸灘~伊予灘」の海域で、記録が残っている最も古い地震は1649年、現在の伊予市と大洲市の沖合で起こった...

 先週、安芸灘~伊予灘でM7クラスの地震がいつ起こってもおかしくないということを書きました。 図-1はこの地震が起こった時の想定震度分布です。 市の大半が震度5弱、山地で震度4となっています。 地震による揺れは地盤条件や地形で異なりますので、1階級上の震度、すなわち、震度5強もあることも考えておく必要があります。 では、震度4、5弱、5強とはどのような揺れでしょうか。 図-2は気象庁震度階の説明図...

 この3月25日に政府・地震研究推進本部から「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価」(第二版)が発表され、それに関連して日向灘や奄美、沖縄諸島周辺の地震が起こる可能性について“その34,35”で、そしてそれに関連して先週、先々週は「安芸灘~伊予灘」の地震について書きました。 実は「南海トラフの地震活動の長期評価」も2013年5月に発表されています。 これには非常に重要なことが述べてあるの...

 先週お約束した「南海トラフの地震活動の長期評価」の“非常に重要なこと”を書きたいと思います。 実は、南海トラフで巨大な地震が起こると、場所によって地盤が沈下したり隆起したりします。 高知市は沈下する場所で、昭和21年の南海地震の時には市街地全体が約1~1.5m沈下しました。 地震による強い揺れで当時の木造家屋はみな倒壊、その後津波にさらわれて何もなくなり、地盤が沈下したため市街地は一面海と化しま...

 ここ数回、南海トラフの巨大地震が目の前に迫っている、と書いてきました。 私は事実を述べているだけなのですが、取り方によっては脅しているようにも受け止められるでしょう。 南海トラフの巨大地震が来るぞ、来るぞ、と脅しているだけで、どう準備して対応するかということを書かないと、無責任と思われても仕方ありません。 そこでこれから数回にわたって、南海トラフの巨大地震に限らず風水害も含めて、どのように災害に...

 さて、前回、家庭の防災計画、家庭継続計画(Home Continuity Plan: HCP) の重要性について書きました。 HCPは大きく①HCP策定の体制確立、②被害想定、③計画の策定、④訓練と点検の4ステップからなります。 今週から具体的に我が家を例にHCPの策定方法を説明したいと思います。 ただ、プライバシーのこともありますので、これから書くことは全て我が家のことを正直に書いていません。...

 我が家のHCPの策定を続けます。「B-1-3建物の耐震性に関する状況把握」から。 私の家は建ててから28年経ちます。軽量鉄骨の2階建てで、基礎は耐震性を考え「べた基礎」に、そして基礎と柱の固定は特に注意しました。地震や津波の被害で、基礎は残っていてもその上がすっかり壊れているということがよくあるからです。 建物は切土の上に。盛土は良く揺れます。屋根は軽い材料に。トップヘビー(Top heavy)...

 来週からは我が家が防府市のどこかにあると仮定して改めてHCPを策定しましょう、と書きましたが、もう一回、引き続き宇部在住のままHCPを紹介します。 過去2週で「A.検討体制の確立」、「B.被害想定」を終えました。 今週は「C.計画策定」のうち「C-1家族の安否確認方法」、「C-2費用のかからない対策」、「C-3避難所、避難場所」について。 以下、表を参考にして下さい。「C-1家族の安否確認方法」...

 今週からは我が家が防府市のどこかにあると仮定して改めてHCPを考えていきたいと思います。 それで、どこに住んでいることにしようかとあれこれ考えた末、まずは牟礼地区に住んでいることにしました。 その理由は、近い将来必ず起こる南海トラフの巨大地震で、牟礼地区は防府市内で「震度5強」の強い揺れを想定されている一部であること、また、津波の浸水も想定されているからです。 では、表の形にまとめていきます。 ...

 今週は「B-1-3建物の耐震性に関する状況把握」から。 私の家は建ててから28年経ちます。 軽量鉄骨の2階建てで、基礎そのものの耐震性を考え「べた基礎」に、そして基礎と柱の固定は特に注意しました。 地震や津波の被害で、基礎は残っていてもその上がすっかり壊れているということがよくあるからです。 子どもたちも最近家を建てましたが、その際これらのことはアドバイスしました。 家屋やビルで「新耐震設計基準...

 我が家の家庭継続計画(Home Continuity Plan: HCP)の策定を続けます。 これまで「A.検討体制の確立」、「B.被害想定」を終えました。 今週は「C.計画策定」のうち「C-1家族の安否確認方法」、「C-2費用のかからない対策」について。 以下、表を参考にして下さい。 「C-1家族の安否確認方法」から。 家族の携帯電話番号、LINEを全員が共有しています。 災害時には通話は制限...

 我が家の家庭継続計画(Home Continuity Plan: HCP)の策定を続けます。 これまで「A.検討体制の確立」、「B.被害想定」、「C.計画策定」のうち「C-2費用のかからない対策」まで進みましたので、今週は「C-3避難場所、避難所」から。 以下、表を参考にして下さい。 避難場所と避難所の違いをご存じない方が結構おられるようです。 「避難場所」はまずは身の安全を確保するために避難す...

 今週は「C 計画策定」の続き、「C-4 重要な連絡先」「C-5 備蓄品」「C-6 災害対応」について。 以下、表を参考にしてください。 「C-4-1 災害発生直後に連絡すべき相手先一覧」は、家族全員がそれぞれリストアップし、表を作成、共有します。 我が家は私の勤務関係、親戚。 子どもたちの家庭では、勤務関係の他に学校、幼稚園があります。 「C-5 備蓄品」に関しては、市のハザードマップ等に例があ...

 いよいよ今週は、HCP最後の「D 訓練と点検」です。 Aで目的と体制を、Bで敵を明らかにし、Cで計画を立てました。 Dはその計画がうまくいくかどうかを確認するための訓練計画の実施と見直しです。 白状しますと、わが家ではまだこのDは始めていません。 これを機会に始めようと思います。 表をご覧ください。「D-1-1家庭での災害時対応訓練の実施計画」 もうすぐやってきますが、9月1日の防災の日(関東大...

 観測史上最も早く梅雨が明けたかと思うと、再び梅雨のような天気が続き、「線状降水帯」も次々に現れて、今も豪雨が全国各地を襲い、被害が続出しています。 「線状降水帯」という言葉、最近ではすっかりポピュラーになりましたが、その“予測”がこの6月1日から気象庁より出されることになりました。 すごいことだと思います。 親しくして頂いていたNHK解説委員のIさんからだいぶ前に聞いた話を思い出しました。 深夜...

 大型で強い台風11号、線状降水帯発生の可能性もあるとのことで、報道機関、行政は厳重な注意を繰り返し呼びかけました。 JR西日本も早々と6日の始発から博多~広島間の新幹線の運転取りやめ、私はその影響をもろに受けました。 結果的には風は強かったものの雨はあまり降らなかったとのことでしたが(と言うのは、ちょうどこの時仙台へ出張して山口県にいなかったものですから)、皆さんのお宅はいかがでしたでしょうか?...

 台風14号は、18日19時頃に中心気圧935hPa、非常に強い勢力で鹿児島市付近に上陸し、その後19日午前中山口県を直撃する形で進みました。 県内各市町で「警戒レベル3、高齢者等避難」、「警戒レベル4、避難指示」の警報が出されました。 この日私は早朝からパソコンに向かって、台風の状況を見ていました。 私がこのような時にいつも見るのは、「山口県土木防災情報システム」です。 図はそのトップページで、...

 台風14号が過ぎ去った先月20日早朝、宇部市の常盤公園の遊歩道を歩くと、強風で折れた木の枝や葉が路上に敷き詰められていました。 思わず清少納言の枕草子「野分(のわき)のまたの日こそ」を思い浮かべました。「野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。~略~大きなる木どもも倒れ、枝など吹きおられたるが、萩・女郎花(おみなえし)などの上によころばい伏せる、いと思わずなり。」 倒れた大きな木や萩・女...

 今やすっかりおなじみになった「線状降水帯」、その発生予報がこの6月1日から始まりました。 そのこと、およびその発生メカニズムについては「その50」および「その51」で書きました。 現在はその予報の当たる確率は25%程度ということですが、その精度を上げる研究が防災科学技術研究所をはじめ大学等の協力で進められています。 線状降水帯の予測精度向上には、線状降水帯を構成する積乱雲の誕生、成長、移動などを...

 これから数回にわたって、首都直下地震の被害想定について書きたいと思います。 その理由は首都直下地震が近づいているからです。 首都圏のことで、山口県に住んでいる私たちには関係のないこと、と思ってはいけません。 読者の皆さんの中には首都圏に家族の方が、親戚の方が、あるいは友人、知人がたくさんおられるとことと思います。 それだけではありません。 もし今首都直下地震が起こったら、へたをするとその直接被害...

 関東周辺は図-1に示すように、東から太平洋プレートが年間約8~10㎝のスピードで日本海溝、伊豆・小笠原海溝から北米プレート、フィリピン海プレートの下に潜り込んでいます。 また南からはフィリピン海プレートが年間約4~6㎝のスピードで相模トラフ、南海トラフから北米プレート、ユーラシアプレート(大陸プレート)の下に潜り込んでいます。 それに対して北米プレート、ユーラシアプレートががっしりと受け止めてい...

 表は首都南部直下地震被害想定結果です。 上半分の建物全壊、死者、要救助者、帰宅困難者、避難者は先週も示しましたが、改めてライフラインの被害と共に示します。 100年前の関東大震災の死者約10万5千人に比べれば確かに死者は少ないかもしれません。 しかしながら東日本大震災の死者が約2万2千人。 それに匹敵する人が犠牲になる可能性がある、と言う衝撃的な数字です。 さらにこれらの数字を考えてみます。 ま...

 これまで3回にわたって、中央防災会議、首都直下地震対策検討ワーキンググループが公表した地震被害想定結果について説明してきました。 実は、この5月25日に東京都が都の被害想定を公表しています。 前者が東京都とその周辺を含む首都圏を対象としているのに対して、後者は東京都だけが対象です。 都は今回の公表にあたって、『東日本大震災を踏まえ、平成24(2012)年に「首都直下地震等による東京の被害想定」を...

 この5月25日に東京都が公表した都の被害想定結果を再掲します。 被害想定には多くの前提条件と限界があるということを前回書きました。 私自身山口県の地震被害想定の委員長として、その時点での最新の研究成果、データを活用して想定精度を高めることに最善を尽くしました。 しかしながら、地震の発生が想定した断層のどこから始まって(震源の位置)、断層の破壊がどのようにどこまで伝わるのか、また断層のずれの量がど...

 表は首都直下地震のうち、これまで対象としてきた最も被害が大きい「都心南部地震」による全壊・焼失家屋の数です。 ケースとして、「冬の早朝」:みんな寝ている時間帯、「冬の昼」:多くの人が仕事などで活動している時間帯、「冬の夕方」:多くの家庭が火を使っている時間帯です。 さて、この表を見て、どのような感想を持たれますか? まず気が付くのは、有効数字6桁まで求めてあり、そんなに精度よく被害が想定できるの...

 今週も引き続き「都心南部地震」による被害について。 表‐1は先週も掲載の全壊・焼失家屋の数です。 表‐2は人的被害、ここでは死者数を死因別にまとめたものです。 この死者数は地震発生直後の数と思ってください。 この二つの表を見比べて下さい。 地震が起こると約82,000戸の家が揺れや液状化で壊れるのに対して、大半の人が寝ている冬の早朝に地震が起こると、死者が約4,900人、また火災は27,000戸...

 今週も引き続き「都心南部地震」による被害の話をします。 表‐1は先週も示した人的被害ですが、先週に比べて要因を3つに簡単にしています。 この中で、自力脱出困難者とは家屋の倒壊等によって閉じ込められてしまう人のことです。 その数は冬の早朝がもっとも多く、約35,000人と想定されています。 このほか、避難者数が最大で約300万人(地震後4日~1週間)、帰宅困難者数が最大で約450万人と想定されてい...

 都心南部直下地震が起こった時の被害ですが、東京都内どこも一様ではなく、被害の大きい所とそうでない所があります。 そのことを知っているので、東京出張の際には、私はなるべく山手線の外に行かないようにしています。 仕事もだいたい山の手線の内側で済みますので。 基本は「すぐ宇部に帰る」ですが、宿泊しなければならないときには、多少値段は高くなりますが、ホテルも山手線の内側、あるいは羽田空港の近くにとります...

 図は都心南部直下地震による焼失家屋数の分布を示したものです。 先週示した全壊家屋数の分布とよく似ています。 高い分布を示している所は木造家屋が多く、しかも密集しています。 この辺りは川の近くで地盤が柔らかいのでよく揺れる、したがって全壊家屋数も多いし、火災が発生しても消火活動が困難、したがって焼失家屋数も多い、ということになります。 火災発生件数は最も多いケースである冬の夕方、風速8m/秒で、9...

 引き続き首都直下南部地震の被害想定について。 図は震源となる断層の位置と大きさ、および震度分布です。 地震のマグニチュード(以下、M)は7.3、ちょうど阪神・淡路大震災と同じMです。 強い地震が揺れ続ける時間(継続時間と言います)は阪神・淡路大震災の時が約13秒。 一方、東京湾は地下の深いところに硬い岩盤がお椀のようにあり、そのお椀の中に新しい柔らかい地盤が深く堆積しています。 したがって、同じ...

 昨年は10月から前回までの約3か月間にわたって、首都直下地震の被害想定について書きました。 それに対してどうしたらよいかという対策についてはあまり書いていません。 そのことはいずれ書くことにして、年が変わって、改めて近い将来必ず起こり、直接私たちに関係がある南海トラフ巨大地震にどう備えるか、について書きたいと思います。 結論から言って、山口県は死傷者ゼロに出来ると確信しています。 それを実現する...

 先週は、県全体の南海トラフ巨大地震による犠牲者について書きました。 今週はそのうち防府市の人的被害について紹介します。 表-1は防府市の死傷者の想定結果を原因別にまとめたものです。 比較のために県内で最も人的被害の多い岩国市の結果も示しました。 3段のうち、上段は冬の夕方6時。 暖房や夕食の準備などで最も火を使っている時間帯。 また通勤などで多くの人が移動している時間帯でもあります。 中段は夏の...

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