防災徒然日記

現在、宇部日報に連載中です。

記事一覧

 “つれづれなるまゝに、夜な夜なパソコンに向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、災いのことなどあやしうこそ物狂ほしけれ” 「ハザードマップを読む」を書きながら、いろいろと防災について考えるにつけて、様々なことが頭をよぎって、社長の脇さんと相談した結果、このようなタイトルで、思いつくままに防災に関して書かせて頂くことになりました。 来年3月11日で東日本大震災から10年に...

 前回、“首都直下地震、南海トラフ巨大地震が近い将来必ず起こる。今後30年以内に起こる確率は首都直下地震、南海トラフ地震ともに70%程度と、内閣府が公表している”と書きました。 特に南海トラフ(トラフとは溝の意味。ここでは海溝)で起こる巨大地震は、過去、数十年から百数十年に一度、繰り返し起こっています。 これは西日本の南の海底のフィリピン海プレート(大きな岩の板)が年4~6㎝の速さで北上し、日本列...

 南海トラフ巨大地震は近い将来必ず起こります。 従って、それに備えなければなりません。地震は昔から、『地震、雷、火事、親父』と、怖いものの筆頭に挙げられ、確かに怖いものです(家長制度のなくなった今は、親父はもはや怖い存在ではありません。そのかわり・・・)。 その一方で、『幽霊の正体見たり枯れ尾花』ということわざもあります。 ただやみくもに恐れ、混乱しては、何の解決にもなりません。孫氏の兵法にも『敵...

 先週の第三段で、山口県の地震被害想定の中から南海トラフ巨大地震による想定死者数をまとめた表を示しました。 読者の中には気づかれた方もいらっしゃると思います。“風速によって火災の延焼範囲が異なり、それによって被害も異なる、と書いてあるのに、犠牲者数は風速3m/秒も15m/秒も全く同じではないか”と。 確かに死者数については、たまたま風速の違いによって違いはありません。しかしながら負傷者数、重傷者数...

 さて、先週は南海トラフ巨大地震が起こった時には、まず間違いなく緊急地震速報が出され、緊急地震速報が出されて宇部に強い揺れが来るまでに少なくとも30秒は時間がある、その間に命を守るための行動をとること、すなわち火を使っていたら慌てずに火を消すこと、倒れてくるもの・落ちてくるものなどがない所へ避難することが大切、ということを書きました。 地震による死傷の原因は、大きく分けて3つです。 一つ目が火災、...

 山口県に大きな被害をもたらす地震で、南海トラフの巨大地震と同じくいつ起こってもおかしくない地震がもう一つあります。 安芸灘・伊予灘の地震がそれです。 山口、広島、愛媛、大分の4県に囲まれた海域では過去繰り返し大きな地震が起こっています。図-1はそれら地震の震央を示したものです。大きな丸はM7クラス、小さい丸はM6クラスの地震です。図-1 1649年以降安芸灘・伊予灘で起こった地震の震央 この海域...

 山口県、広島県、愛媛県、大分県に囲まれる瀬戸内海の安芸灘・伊予灘の海底にはマグニチュード(M)7クラスの地震エネルギーがたまっていて、いつ地震が起こってもおかしくない状況にある、したがって、南海トラフ巨大地震と同様、安芸灘・伊予灘の地震に対しても十分備えをしておく必要がある、と先週書きました。 この安芸灘・伊予灘の地震に対しても山口県は被害想定を行っています。 図は安芸灘・伊予灘で地震が起こった...

 この“日記”で南海トラフ巨大地震による津波について書いていたころの11月5日は、実は「津波防災の日」だったのです。 東日本大震災の起こった3か月後の平成23(2011)年6月に、津波対策を総合的かつ効果的に推進することを目的として、「津波対策の推進に関する法律」が制定されました。 この法律では、津波対策に関する観測体制の強化、連携協力体制の整備をはじめとする防災対策の実施などが規定されています。...

 前回、津波防災のバイブルと紹介した「稲むらの火」は、原作はラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の「Living God」で、当時和歌山県の小学校教諭だった中井常蔵先生が日本語に翻訳されたものです。 多分、中井先生の名訳がなければ、これほど「稲むらの火」は有名にはならなかったでしょう。 稲むらの火の舞台は和歌山県の広村、現在の広川町で、対象となった地震は安政元年11月5日(太陽暦では、1854年12月...

 今週も津波にまつわる話を。 1970年代初め、ポセイドンアドベンチャーという映画が大ヒットしました。豪華客船が大津波に襲われて転覆、船底へ移動した数人だけが最終的には救助されるというハラハラドキドキの映画でした。 当時学生だった私は気が付かなかったのですが、後になって地震工学の研究を始めてその映画の大ウソに気が付きました。 映画では津波は30mを超す水の壁となって襲ってきます。しかし現実にはその...

先週アラスカ州の州都ジュノーの西方約200kmにあるリツヤ湾の奥で大規模な山体崩落(斜面崩壊)が起こり、それによって海中になだれ込んだ大量の土砂や氷塊により湾内で巨大な水しぶきが発生、対岸に津波が押し寄せた。その津波の高さは524mに及び、これが世界最高の津波遡上高、ということを書きました。 これほどの高さではありませんが、地震によって山の斜面が大規模に崩壊、その大量の土砂が海になだれ込んで津波を...

 数週間、過去の津波にまつわる話を書きましたが、話を南海トラフ巨大地震にもどし、今週は「震度」の話を書きます。 この「震度」という言葉、実は構造物の耐震設計にも全く違う意味で使われます。 従ってそれとの違いをはっきりさせるために、正式には「気象庁震度階」と言いますが、この徒然日記では一般に使われている「震度」を使っています。 さて、図-1は南海トラフ巨大地震が発生したときの山口県の震度分布です(平...

 前回、山口県が行った地震被害想定のうち、南海トラフの巨大地震が起こった時の山口県の震度分布、宇部市の震度分布について書きました。 宇部市の広い範囲で震度5弱、北部から西部の山陽小野田市との市の境界周辺で震度4、逆に市の南部の空港周辺から西岐波、東岐波の海岸沿いの一部で震度5強となっています。 では、震度4、5弱、5強とはどのような揺れ方なのでしょうか? 気象庁が平成21年3月31日に改訂した「気...

 この日曜日の1月17日は阪神・淡路大震災が26年前に起こった日でした。 もう26年経ったのか、という一種の感慨を覚えます。 というのは、阪神・淡路大震災を大阪で体験したからです。 この経緯はまた別の機会に書くことにして、翌18日、私は京都新聞の記者と一緒に大阪から西宮市へと被害の様子を見に行きました。本当は神戸まで行きたかったのですが、周辺の被害が激しかったことと、ひどい渋滞でとても西宮市から先...

 1995年1月17日の未明、激しい揺れで目が覚めました。 大阪のホテルの6階の部屋だったと思います。 それは本当にすごい揺れで、まるで激しい乱気流に巻き込まれた飛行機に乗っているようでした。 日ごろ講義や講演会などで偉そうに言っている自分が地震で怪我をしたら笑われる、などと思いながら、天井や壁から落ちてくるものはないか、倒れてくるものはないか、テレビなど飛んでくるものはないか、身の回りを確認しな...

 1995年1月17日の未明、激しい揺れで目が覚めました。 揺れが収まるとすぐテレビのNHKにスイッチを入れました。 阪神地方で激しい地震が起こったという第一報があったのち、しばらくは詳しい情報は報道されなかったのではないかと記憶しています。 そのうち朝の7時過ぎになり、朝食の時間がやってきました。一階のレストランに行こうと思ったら、エレベーターは動いていませんでした。 激しい揺れが原因だったので...

 実は阪神・淡路大震災の起こった1995年1月17日のちょうど1年前の1994年1月17日(アメリカ西海岸の時間で)、ロサンゼルス北東部で地震が起こりました。 テレビや映画でよく山の斜面に白い文字「HOLLYWOOD(ハリウッド)」の看板を見ることがありますが、地震はその山の北側、サンフェルナンド・バレー(バレーとは渓谷という意味で、確かに遠く山に囲まれていますが、とても広い平野で日本人の感覚では...

 日本は地震国で、地震に対してどのように構造物を設計したらよいか、ということが、すなわち耐震設計法が、明治以降ずっと考えられてきて、地震で被害が起こるたびに設計法が改訂されてきています。 前回、阪神・淡路大震災がその耐震設計の考え方を大きく変えることになった、と書きました。 耐震設計は簡単に言うと、その構造物の重さの何%が地震による力(地震力といいます)として、構造物に水平に作用するかを考え、その...

 阪神・淡路大震災以後、構造物の耐震設計には、地震によって構造物に働く力(地震力)を「レベル1震動」と「レベル2地震動」の2段階の地震(地震動)で考えることになった、と先週書きました。 鉄筋コンクリート造の建物や橋、ダムなどの土木構造物は大体50~100年使うことが前提になっています。 この使用期間中に数回起こるような地震に対しては、無被害か、被害があったとしても軽微で修理がすぐできて、地震後もす...

 今週は「レベル1地震動」、「レベル2地震動」と『揺れやすさマップ』の関係について書きたいと思います。 以前、この連載の前に「ハザードマップを読む」を連載していましたが、「その14、15、16」で宇部市の揺れやすさマップについて説明しました。 図-1は「その15」でも紹介した揺れやすさマップの作り方です。図-1 宇部市のハザードマップの作り方 この揺れやすさマップは、宇部市周辺の活断層①~⑧が動い...

 今週は「レベル1津波」、「レベル2津波」の考え方について書きます。 実際には「レベル1津波」、「レベル2津波」という言葉は使われず、「レベル2津波」は「最大クラスの津波」と言われています。 「レベル1津波」には特に言い方はないようです。 東日本大震災後、平成23年7月に国土交通省が「津波防災まちづくりの考え方」の緊急提言を行っています。 その概要は以下の通りです。1.津波災害に対しては、今回のよ...

 先々週は「レベル1地震動」、「レベル2地震動」について、先週は「レベル1津波」、「レベル2津波」の考え方について書きました。 今週は洪水を起こす雨量の「レベル1」、「レベル2」について書きます。 実際には「レベル1津波」、「レベル2津波」という言い方がないように、「レベル1雨量」、「レベル2雨量」という言い方はありません。 しかしながら、言葉はないものの、その考えは洪水ハザードマップに反映されて...

 東日本大震災から10年が経ちました。 テレビや新聞等、多くの特集を行っています。 それらを見て率直に感じるのは、この十年、被災された方々がいかに大変であったか、まだまだ復興への道のりは遠い、といった論調のものが多く(これはこれで大切なことです)、迫りくる次の大災害、首都直下地震や南海トラフ巨大地震へどう備えるか、さらには最近頻発している豪雨災害、土砂災害へどう備えるか、といった「これから」につな...

 東日本震災前、気仙沼市主催の津波に対する備えの研究会に参加していた、また震災の半年前に三陸各地を訪ねて津波の被害を後世に残すために建てられた多くの石碑の写真を撮って回った、と先週書きました。 震災後気仙沼市や三陸のことがずっと気がかりで、一刻も早く訪ねて行きたいと思っていましたが、結局震災後初めて気仙沼市を訪ずれたのはその年の6月でした。 研究会で一緒だった、市の防災危機管理課長(当時)をされて...

 気仙沼市の震災当時の防災危機管理課長佐藤健一さんの一言が、のちにJAXAの衛星データを山口に誘致するきっかけになった、と前回の終わり書きましたが、その話は別の機会に譲ることにして、引き続き気仙沼市でのお話を。  「釜石の軌跡」という言葉がよく言われました。 釜石市ほぼ全部の小・中学生が津波から見事に逃げ切りました。 その背景には学校の防災教育がありました。 その一方で、大人は1000人を超える犠...

 児童、先生計84人が犠牲になった宮城県石巻市の大川小学校をはじめとして、東日本大震災のあと各地で訴訟が起こりました。 大川小学校の訴訟のことはまた別の機会に書くことにして、先週書いた気仙沼市杉之下地区を訪れた報道関係者がそこの町内会長さんに聞きました。「ここは訴訟を起こさないんですか?」 それに対する町内会長さんの答。「私たちは市と何度も検討を重ね、あの小高い丘の上を避難場所と決めました。責任は...

 気仙沼市杉の下地区の近くに、熱心に防災教育に取り組んでいた市立階上(はしかみ)中学校があります。 同級生1人が死亡、2人が行方不明という状況で開かれた、その年の階上中学校の卒業式での卒業生代表梶原裕太君の答辞、時々講演会で紹介しますが、今読んでも胸が締め付けられ、うまく読めません。 梶原君はその後地元の高専に進学、卒業後防災に関係する仕事がしたいということで、地元のコンサルタントで頑張っているそ...

「東北は、私たちが頑張って何とかします。西日本にもいずれ大きな地震がきますね。先生はこれと同じような悲劇が再び起こらないように、しっかりと準備の研究をして下さい。」 当時気仙沼市防災危機管理課長の佐藤健一さんのこの一言が、のちにJAXAの衛星データを山口に誘致することにつながったのです、と第24段で書きました。 今回からその辺のお話しをしたいと思います。 平成18(2006)年度から21(2009...

 私が“衛星データが防災に使える”と考えるようになったときは、ちょうど学部長も終わり、学科の所属がそれまでの「知能情報システム工学科」から新しくできた(というより作った)「循環環境工学科」へ移るタイミングでもありました。 「循環環境工学科」は私が学部長時代に文部科学省との折衝や予算の獲得にずいぶん奔走したので、あたかも自分の子供のように愛着があり、何とか成功させないといけないという強い思いがあり、...

 衛星データを防災に使う研究を始めたのが2008~2009年のこと。 ちょうどそのころ、2009年7月に「平成21年中国・九州北部豪雨」が起こり、防府市、山口市を中心に土砂災害や洪水災害が起こりました。 早速JAXAに「だいち」の衛星データを提供して頂き、防府市の土砂災害の解析を「光学センサー」と「マイクロ波センサー」を用いて試みました。 土砂災害が起こった場所を衛星データを使って見つけることがで...

 先週、陸前高田市の津波による被害の範囲を、衛星データを使ってほぼ求めることができ、衛星データが防災に使えるという確信を得た、と書きました。 話は前後しますが、その後何度も気仙沼市の防災危機管理課長で、のちに防災監を務められた佐藤健一さんを訪ね、被災状況のこと、その後の対応のことなどを聞きました。 佐藤さんの話によると、被災直後は津波による山のようながれきで状況把握をするために外へ出ることもできず...

 今週は、少々乱暴なはなしを。 現在JAXAが打ち上げて地球の観測を行っている地球観測衛星「だいち2号」クラスになると、設計、製作、打ち上げ、運用で、大体500億円かかります。 これを高いと思うか、安いと思うか、皆さんはどう思われますか? 防災の観点から言うと、私は“安い”と思っています。 先週書いたように、災害直後の被災状況をすぐに国(首相官邸、内閣府防災など)、県、国土交通省、自衛隊、消防、警...

 図は現在のJAXAの国内の事業所・施設です。この図の他に「東京事務所」(お茶の水)、本社・調布航空宇宙センター(調布)があります。図 JAXAの事業所・施設 図にもありますように、現在は宇部市に「西日本衛星防災利用研究センター」がありますが、以前はありませんでした。 衛星データは今はこの「西日本衛星防災利用研究センター」にもありますが、以前は関東のセンターにしかありませんでした。「衛星データを西...

 神風が吹いたお話をする前にもう一人、重要な役割を果たして下さった方のお話を。 当時JAXAの地球観測担当の理事を務めておられた山本静夫さんです。 以前お話した田中佐(たすく)先生のJAXA時代の同僚で、田中先生から紹介いただきました。 物静かな方で、私よりはるかに学究肌の方でした。 田中佐先生は「邪魔者は蹴散らしてでも大事なことは実現せんといかん(ご本人から何度か聞いた言葉)」という、いわば織田...

 いよいよ神風のお話を。 その神風とは、「地方創生」の一環として、政府が打ち出した中央省庁や独立行政法人などを地方に移転する、という国の一大事業。 平成27年(2015年)初めのこと。 これに山口県は3機関の移転を要望。 幸いにもその中の一つにJAXAの衛星データのバックアップ機能を、というのを入れて頂いた。 最終的に決定されるのがその年度末。 決定まで1年しかない。 それから県の担当の方たちとの...

 山口県へJAXA(宇宙航空研究開発機構)の衛星データが来ることになった経緯をお話していますが、少し補足説明を。 まずアンテナの直径の話から。 山口市仁保にあるKDDIのアンテナ(直径が30m以上あります)が有名なので、皆さん、衛星データを受信するというと、あのアンテナを思い浮かべられると思います。 ところが産業技術センターに設置されたJAXAのアンテナの直径はわずか1.1m(写真)。産業技術セン...

 多くの関係された皆さんの悲喜こもごものエピソードを生みながら、無事JAXAの衛星データが山口県へ来ることが決まり、平成28年(2016年)9月14日、県庁でJAXA、山口県、山口大学の三者協定の調印式が行われました。 協定は、「人工衛星による衛星データの応用研究や利用促進に相互に協力して取り組むことにより、防災分野等における衛星リモートセンシング技術の利用を推進すること」を目的としています。 写...

 例年よりかなり早く梅雨入りしたものの、あまり雨も降らず今年は空梅雨かなと思い、のんびりと思い出話を書いていましたら、衝撃的な映像が飛び込んできました。 熱海市を襲った土石流です。 何度も何度も繰り返し放映されたので、皆さんもご覧になったと思います。 NHKのニュースの画面を撮影したものが図-1です。 ものすごい勢いで土石流が流下しています。 これまで毎年のように日本各地で豪雨災害があり、洪水や土...

 土砂災害には、大別して、土石流、急傾斜地の崩壊(がけ崩れ)、地滑りの3種類があります。 もちろんこれらは明確に区別されるものではなく、これらの中間的な現象が発生したり、同時に起こることもあります。 図‐1は土砂災害の起こりやすい地形をまとめたものです(防災科学技術研究所、自然災害情報室、自然災害について学ぼう、15.斜面崩壊・地滑りより引用)。 大雨によって斜面崩壊が発生しやすい所は、地形では斜...

 前回、平成30年7月の豪雨では山口県内でも土砂災害で3人の方が亡くなり、いずれもレッドゾーン、イエローゾーンに住んでおられる高齢の方たちだったということを書きました。 図にその3人の方が亡くなった場所を示します。 被災現場は×印で示しています(山口県防災会議、防災対策専門部会資料。当時私は部会長を務めていました)。 いずれも光市、周南市、岩国市を流れる島田川の上流で、岩国市周東町上須通、岩国市周...

 先週、「率先避難体制づくり」について触れました。 今週はこのことについて少し具体的に書きたいと思います。 図は県が作成した「率先避難体制づくり」のイメージ図に、私が少し加筆したものです。 これは土砂災害の危険性のある地域“土砂災害警戒区域”、通称“イエロー・ゾーン”にある地域を対象に「率先避難モデル地域」を考えたものです。 このモデル地域(通常、自治会ごとに体制を作るといいでしょう)をいくつかの...

 災害が起こりそうなとき、あるいは起こった後も情報の入手は非常に重要です。 そこでこれから数回にわたって情報の入手方法について、実際に私が使っている方法を紹介したいと思います。 これから台風シーズンを迎えます。 台風の進路に山口県がかかりそうなときには、まず私が見るのが「山口県土木防災情報システム」です。 図は「山口県土木防災情報システム」のホームページです(8月4日現在のトップページ)。 簡単に...

 今月(2021年8月)の7日~9日の3連休、台風9号が西日本を襲いました。 8日九州へ上陸、山口県の東部をかすめて広島県に上陸、その後中国地方を斜めに横断して日本海へ抜け温帯低気圧へと変わりました。 山口県への最接近は9日の深夜でした。 私は8日の午後から、「山口県土木防災情報システム」を見始めました。 まずは「台風情報」で台風の進路とおおよその時間を確認、そして先週書いたように「潮位情報」を見...

 台風9号の後は、盆前から梅雨前線のように大雨をもたらず前線が停滞、あるいは緩やかに移動して、九州から始まって日本の非常に広い範囲が豪雨災害に見舞われています。 このような時にはテレビやラジオ、新聞でも大きく気象情報や被害の様子が報道されます。 しかしこれらの報道は被災地が中心で、自分の住んでいるところの情報は、被災地であれば別ですが、まず報道されません。 このようなときに大事なことは、自分で積極...

 第四十二段で「山口県土木防災情報システム」ホームページのトップページを使って、このシステムによってどのような情報が提供されるかを簡単に紹介し、第四十三段で具体的に「潮位情報」の紹介をしました。 台風9号の後、九州に始まり日本各地の広い範囲で、しかも盆前から先週初めまでの長期間にわたって大雨が続きました。その結果、今年も豪雨によって大変な被害が出ました。 そこで今週は「山口県土木防災情報システム」...

 今週は「山口県土木防災情報システム」の「土砂災害」の見方を紹介したいと思います。 同システムトップページの「土砂災害」のボタンの「土砂災害ポータル」をクリックすると、図-1が現れます。 左上に「山口県土砂災害警戒区域等マップ」と「山口県土砂災害警戒情報システム」という2つのボタンがあります。 上のボタン「山口県土砂災害警戒区域等マップ」をクリックすると、県内の土砂災害の危険な区域、すなわち「警戒...

 引き続き「山口県土木防災情報システム」の見方ですが、今週は「ダム情報」について説明します。 雨が降り続くと状況によっては厚東川ダムの放流が行われ、下流の水位に影響を及ぼします。 「山口県土木防災情報システム」の「ダム情報」には「ダムマップ」と「ダム観測局一覧」のボタンがあり、「ダムマップ」をクリックすると県が管理する県内全ダムに流れ込む水の量の状況が■で図示されます。 赤い■は洪水量以上、黄色い...

 「事前放流」がそう簡単ではないことを書きたいと思いますが、実は「事前放流」そのものを理解することもそう簡単ではないのです。 そこでまずはダムの基礎知識から。 ダムには洪水から流域を守る「治水」、水を利用するための「利水」、さらに最近は「環境保全」もこれらに加わって3つの目的があります。 そしてダムは大別して「多目的ダム」と「利水ダム」に分けられます。 多目的ダムは水道水用、工業用水用、灌漑用、発...

 前回では多目的ダムと利水ダムの水位調整の図を用いて、『予備放流』と『事前放流』の違いを説明しました。今回も同じ図を用いて「事前放流」がそう簡単ではないことを説明します。 その前に、図の補足説明を。 ダム本体の上方に「非常用洪水吐(ひじょうようこうずいばき)」と書いていますが、この位置にある洪水吐(通常複数のゲートがあります)は、一部のゲートを「常用洪水吐」に使い、残りのゲートを「非常用洪水吐」に...

 早いもので、このシリーズも50回目になりました。 ある時これを読んでいただいている方から、やはり240回くらい続けられるのですか?と聞かれました。 すぐにはその意図が分からず、「いいえ、書けるだけ、脇社長から『もういい』と言われるまで書く予定です」、とお答えしたのですが、その方と別れた直後、吉田兼好の徒然草は確か二百数十段(正確には244段)なので、そのことだったのか、と気が付きました。 思わぬ...

 私は60年近きにわたってカープファンで、「巨人・大鵬・卵焼き」と言われた時代、男の子はみんな「G」の野球帽をかぶっていたのに、私にはかぶる帽子がありませんでした。 ちなみに相撲は柏戸ファンで、よく大鵬に負かされました。 それと同様に、カープもジャイアンツによく負かされていました。 一番強いものをなんとなく好きになれない、私はちょっと変わった少年でした。 それがなんということでしょう、今や「カープ...

 真鍋淑郎氏がノーベル物理学賞を受賞され、大いに喜ぶとともに、驚きも感じました。 正直、「え、こんな研究がノーベル賞の対象に!?」という驚きです。 ノーベル物理学賞と言えば、物質を構成している素粒子のそのまた元となる超超極微の世界の究明とか、宇宙の誕生に迫る何百光年という想像もできないスケールの中のこれもまた超超極微の物質の運動など、巨大な装置やお金をかけたビッグサイエンスでないととてもできない、...

 先週は、今月7日の夜10時過ぎに関東地方で起こった地震がイヤーな、本当にイヤーな地震だということを書きました。 その原因である首都直下地震についてこれから数回にわたって書いてみたいと思います。 首都直下地震の被害想定は、過去何度も行われています。 これからお話しする内容は平成25年(2013年)12月に、国の中央防災会議の中の「首都直下地震対策検討ワーキンググループ」が取りまとめた『首都直下地震...

 先週は、首都直下地震のうち最も被害が大きいと想定されている「都心南部直下地震」の人的被害について説明しました。今週も引き続きその話をします。 この地震が「冬・深夜」、「夏・昼」、「冬・夕」の3つの時間帯に起こった時の死亡の原因ごとにまとめられた表を今週も示します。表 都心南部直下地震における人的被害 この表より、「冬・夕」に地震が起これば、最悪の場合23,000人の死者が出るという結果になってい...

 日曜日の夜、「日本沈没」というドラマをやっていて、ぶちぶち言いながら見ています。 地球物理学的にも、現在の地球観測システムとその運用に関しても、あまりにもあり得ないことがベースになっているからです。 SF(Science Fiction)ではなく、人間の確執ドラマですね。 それにしても各省庁の代表者が非常に頼りなく描かれています。 私の知っている限り、各省庁の代表ともなろう人たちは非常にしっかり...

 日曜日の夜の「日本沈没」、すごい展開ですね。 第一波だけで関東沈没は終了。 早速復旧復興に取りかかり始めた矢先、例の変わった地震学者の先生から、今度は名古屋方面が沈没、いよいよ日本沈没に・・・。 日本の政府がたった一人の学者の関東沈没終息宣言、新たな日本沈没の宣言に振り回される、全く現実にはあり得ないことですね。と、相変わらずブチブチ言いながら見ています。 日本及びその近海には、国の省庁、研究機...

 日曜日の夜のTV番組「日本沈没」に触れ、日本及びその近海には、国の省庁、研究機関、大学が非常に多くの地震をはじめとする各種の観測ネットワークを展開していて、多くの研究者が観測に関わっており、一人の研究者だけに情報が集中するということはあり得ない、と書きました。これから少し具体的に観測に関する最前線のお話を。 まず宇宙から。 この防災徒然日記にすでに衛星データの防災への利用について、そして山口県へ...

 先週は人工衛星で地球を観測するセンサーには二種類あることを説明しました。 一つは「光学センサー」といって、太陽光の反射波のうち可視光、すなわちR(赤)G(緑)B(青)と言われている光の三原色、および赤外線を観測するセンサー、もう一つは「マイクロ波センサー」といって、人工衛星自身がマイクロ波を地上に向けて照射し、その反射波を観測するものです。 それぞれ長所と短所があり、実際にはこれらを組み合わせて...

 先週はJAXAが今年度中に打ち上げ予定の「だいち3号」が南海トラフ巨大地震の観測を念頭に置いて、一度の軌跡(パス)で非常に広い範囲の観測、すなわち南海トラフの巨大地震で被害が大きい太平洋沿岸の広い範囲を撮影できるように設計されていることを書きました。 あわせて、空間解像度が80㎝ということも書きました。 空間解像度が80㎝ということはどのくらいかということを図に示します。 図の左が「だいち」の画...

 日曜日のテレビドラマ「日本沈没」の最終回では、北海道と九州を残してリアルタイムで日本列島が沈んでいく様子を見ることができました。 ただ、どうして見ることができるんだろうと、私は不思議に思って見ていたのですが・・・。 日本各地に設置した様々なセンサーからのデータをコンピュータでシミュレーションしたのならわかるのですが。 しかしその場合もセンサーからの情報がどうしてコンピュータへ届くんだろう、とまた...

 テレビでの放映は終わったのに、相変わらず「日本沈没」にこだわっているようですが、ドラマ「日本沈没」の中で、“スロースリップ”と言う言葉がたびたび出てきました。 “スロースリップ” とは、その英語の意味する通り、“ゆっくりすべり”と言う意味です。 “スロースリップ”が日本各地で観測され、ゆっくりと(でもなかったですが)日本列島が太平洋に沈んでいく、という意味合いで使われました。 実はこの“スロース...

 新年明けましておめでとうございます。 昨年12月21日、政府は日本海溝・千島海溝における巨大地震の可能性を発表しました。 その人的被害は最大19万9千人、経済被害は31兆円以上ということです。 南海トラフ巨大地震の人的被害は最悪の場合32万人、経済被害は200兆円超、首都直下地震のそれらはそれぞれ2万3千人、100兆円超ということです。 新年早々こういう話ですみません。 政府はこのように被害想定...

 14日、15日、17日と立て続けにトンガ王国で火山が大噴火し、その影響で8,000㎞離れた我が国にも津波が押し寄せてきました。 津波の高さそのものは1m前後でしたが、多くの船が転覆したり、牡蠣などの養殖いかだに大きな被害を与えたりするなど、改めて津波の脅威を感じました。 今回の津波ですが、どうも特殊な原因で起こったようです。 通常、津波は地震によって海底が上下に動き、海水もそれに従って上下に動き...

 1月22日(土)の午前1時ころ目が覚めて、しばらく眠れそうになかったので居間のソファーに座って、瞑想でもするか、と思っていたら突然緊急地震速報が鳴りました。 すぐにテレビをつけてニュースを。 震源は日向灘の海底で、深さは約40km、地震の規模(M)は6.4(その後6.6に修正)、大分県と宮崎県で最大震度5強を観測しました。 最近このコラムで“イヤーな地震”と言う言葉をたびたび使っていますが、今回...

 今回のトンガ王国の火山の大噴火で気になるもう一つのこと、それは火山の噴火が気温の低下をもたらすのいではないか、と言うことです。 1991年6月、フィリピン・ルソン島の首都マニラの北東約100㎞にあるピナツボ火山が大噴火を起こしました。 その規模と激しさは20世紀最大級と言われています。 噴火前に1745mあった標高は、噴火後に1486mになるというすさまじいものでした。 その噴火によって大量の微...

 去る1月22日(土)深夜、たまたまこの時起きていて、緊急地震速報が鳴り、数秒後に揺れがやってきました。 揺れは10秒くらい続いたでしょうか。 すぐに時間を測れなかったのは残念でしたが、少なくとも宇部は大したことはない、と直感。 寝ている家族を起こして安全な行動をとるまでもない、また気になっている南海トラフの地震でもない、と思い、テレビのスイッチを入れました。 時間とともに情報が入ってきて、震源は...

 今週は、多分皆さんあまり聞きなれない「南海トラフ地震臨時情報」について書きたいと思います。 2019年5月、気象庁は南海トラフ沿いで大規模な地震が起こる可能性が平常時と比べて高まったと考えられる場合には、この「南海トラフ地震臨時情報」を発表することにしました。 ここで、「大規模な地震が起こる可能性が平常時と比べて高まったと考えられる場合」とは、1月22日の地震のように比較的大きな地震が起こったと...

 今週も引き続き「南海トラフ地震臨時情報」について書きます。この「南海トラフ地震臨時情報」の発表の手順は以下の通りです。①南海トラフ巨大地震の想定震源域の中でマグニチュード(以下、M)6.8以上の地震が起こるか、この想定震源域内の大陸プレート(ユーラシア・プレートとも言います)とフィリピン海プレートの境界で地震ではなく滑る「ゆっくりすべり」が起こったら、気象庁が「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」...

 南海トラフで起こる地震には様々なパターンがあり、典型的なものとしては、想定震源域の半分くらいでまず地震が起こり、しばらくして残り半分で地震が起こるパターン(半割れ)、あるいは一部でまず地震が起こり、その後また残りのどこかで地震が起こるパターン(一部割れ)、といったものが考えられています。 相手は自然ですからそのほかのパターンも考えられます。 このような場合には、M=8クラスの地震が起こったとして...

 南海トラフで大きな地震が発生、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」(以下「巨大地震警戒」)が、あるいは「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」(以下「巨大地震注意」)出された場合、引き続きM=8クラスの地震が起こる可能性があるので、その時私たちはどうすれば良いのか、ということを先週書きました。 この2月22日、大きな被害が予測されている高知県が「南海トラフ地震臨時情報について」という情報...

 3月11日前後の報道を目にしたり耳にしたりして、地震の名前と震災の名前の区別をはっきりした方が良いのではないか、と、最近思うようになりました。 多くではありませんが、東日本大震災を過去の出来事のように扱っている報道がだんだん増えているように感じたからです。 2011年3月11日に起こった地震は「東北地方太平洋沖地震」。 これは確かに11年前に起こった過去の出来事。 しかしながらその地震による災害...

 東北地方太平洋沖地震の津波で一面がれきの原となった仙台空港周辺を3月9日に訪問、11年後の現在の様子を第七十二段で書きました。 その間の3月16日の深夜、福島県沖を震源とする地震が起こり、宮城県と福島県の4市1町(登米市、蔵王町、相馬市、南相馬市、国見町)で震度6強が観測されました。 震源の深さは57キロ、マグニチュード(以下、M)は7.4、津波もあり、宮城県の石巻港で0.3m、仙台港で0.2m...

 先月25日、政府・地震研究推進本部から「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価」(第二版)が発表されました。 この長期評価は、図に示すように、「日向灘」、「南西諸島周辺」、「与那国島周辺」、「安芸灘~伊予灘~豊後水道」、「九州中央部」、南西諸島北西沖」の6つの領域の地下で将来起こる地震の規模(マグニチュード)とその発生する確率がどの程度なのかを示したものです。 この領域の地下ではフィリピ...

 先月25日、政府・地震研究推進本部から「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価」(第二版)が発表されました。 この長期評価は、図に示すように、「日向灘」、「南西諸島周辺」など6つの領域の地下で将来起こる可能性のある地震の規模(マグニチュード)と、その発生する確率を示したものです。 この領域の地下ではフィリピン海プレートがユーラシアプレート(大陸プレート)の下に潜り込んでいて、その境界付近...

 先週は1771年(明和8年)に発生した八重山地震によって引き起こされた巨大津波「明和の大津波」の痕跡が石垣島のいたるところで見られ、陸に打ち上げられた巨大な石(津波大石(つなみうふいし)を紹介しました。 その津波の遡上高が二十八丈二尺(現在の高さにすると85.4mというとんでもない高さ)という記録が残っているので、実際にどのような地形でそのような遡上が起こったのか金折先生と石垣島を車でめぐりまし...

 第七十五段の最初に少し触れましたが、この3月25日、政府・地震研究推進本部から「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価」(第二版)が公表されました。 今週と来週はその内容について紹介したいと思います。 この調査評価は、日本及びその周辺の海域をいくつかのブロックに分けて、そのブロックごとにそこで起こった過去の地震を調査し、今後どの程度の大きさ(マグニチュードM)の地震がどれくらいの確率で起...

 今回も前回に引き続いて、政府・地震研究推進本部:日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動長期評価(第二版)のうち、図の「安芸灘~伊予灘~豊後水道」、「九州中央部」、「南西諸島北西沖」の評価結果を紹介します。 まず山口県に最も影響のある「安芸灘~伊予灘~豊後水道」から。 この海域では1600年以降の422年間にM6.7以上の被害地震が7回発生しています。 422÷7=60.3ということから、発生頻度を...

 前回、山口県にとって、「安芸灘~伊予灘」のM7クラスの地震と、「南海トラフ」のM8クラスの地震はいつ起こってもおかしくないので備えておく必要がある、と書きました。 今回は「安芸灘~伊予灘」のM7クラスの地震についてもう少し詳しく説明します。 図-1はこの「防災徒然日記」第六段の図-2でも紹介した図ですが、この海域で記録が残っている最も古い地震は1649年、現在の伊予市と大洲市の沖合で起こったM7...

 先週M7クラスの安芸灘~伊予灘の地震がいつ起こってもおかしくない、そして宇部市の震度は、市の大半が震度4、沿岸部の一部で震度5弱が想定されるということを書きました。 少し前になりますが(第七十段)、南海トラフのM8クラスの巨大地震もいつ起こってもおかしくなく、その場合、市の大半が震度5弱、沿岸部の一部で震度5強、北部から山陽小野田市との境界にかけて震度4が想定されている、とも書きました。 では、...

 この3月25日に政府・地震研究推進本部から「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価」(第二版)が発表され、それに関連して日向灘や奄美、沖縄諸島周辺の地震が起こる可能性、そして先週、先々週はそれに関連して「安芸灘~伊予灘」の地震の可能性について書きました。 実は“南海トラフ“の地震活動の長期評価は2013年5月に発表されています。 この“長期評価”には非常に重要なことが述べてあるのですが、...

 前回、「南海トラフの地震活動の長期評価」(2013年5月発表)には非常に重要なことが述べてある、ともったいぶったことを書いて終わりました。 今回はその“非常に重要なこと”を書きたいと思います。 実は、南海トラフで巨大な地震が起こると、場所によって地盤が沈下したり隆起したりします。 高知市は沈下する場所で、昭和21年の南海地震の時には市街地全体が約1~1.5m沈下しました。 その様子を図-1に示し...

 ここ数回、南海トラフの巨大地震が目の前に迫っている、と書いてきました。 私は事実を述べているだけなのですが、取り方によっては脅しているようにも受け止めることができるでしょう。 このことで、ふと昔のことを思い出しました。 それは教え子の結婚式に呼ばれたときのことです。 彼は非常に優秀かついい男(顔ではなく心が)で、非常に親しくしていましたから、公私にわたっていろいろなエピソードを知っていました。 ...

 家庭の防災計画、家庭継続計画(Home Continuity Plan: HCP)の中身の例を表に示します。 これは中小企業庁、中国地方整備局、厚生労働省のホームページにあるBCPの書式やハザードマップ等に書いてあることを表にまとめたものです。 この表は私の家庭を念頭において作成したものですから、皆さんはこれを参考にご自分の家庭の実情に合わせて修正されればよいと思います。 今回は紙面の都合で全体...

 家庭の防災計画、家庭継続計画(Home Continuity Plan: HCP)、今週から数回に分けて具体的に我が家を例に作成してみたいと思います。 プライバシーのこともありますので、これから書くことは全て我が家のことを正直に書いていないところがありますので、その辺はご了承下さい。 ただし、HCPの本質は外さないようにしています。 今週は先週紹介したHCP全体の表のうち「A検討体制の確立」、「...

 我が家の家庭継続計画(Home Continuity Plan: HCP)の策定を続けます。「B-1-3建物の耐震性に関する状況把握」から。 私の家は建ててから28年経ちます。 軽量鉄骨の2階建てで、基礎そのものの耐震性を考え「べた基礎」に、そして基礎と柱の固定は特に注意しました。 地震や津波の被害で、基礎は残っていてもその上がすっかり壊れているということがよくあるからです。 建物は切土の上に。...

 我が家の家庭継続計画(Home Continuity Plan: HCP)の策定を続けます。 先々週、先週で「A.検討体制の確立」、「B.被害想定」を終えました。 今週は「C.計画策定」のうち「C-1家族の安否確認方法」、「C-2費用のかからない対策」、「C-3避難所、避難場所」について。 以下、表を参考にして下さい。「C-1家族の安否確認方法」から。 家族の携帯電話番号、LINEを全員が共有し...

 今週は「C.計画策定」の続き、「C-4重要な連絡先」、「C-5備蓄品」、「C-6災害対応」について。 以下、表を参考にして下さい。 「C-4-1災害発生直後に連絡すべき相手先一覧」は家族全員がそれぞれリストアップし、表を作成、共有します。 我が家は私の勤務関係、母の通っている介護施設、親戚、子供たちの家庭では、勤務関係の他に学校、幼稚園があります。 一応、我が家だけでなく子供たちの家庭の連絡先も...

 いよいよ今週はHCP最後の「D訓練と点検」です。 正直にいいますと、このHCPシリーズ、読み返してもあまり面白くないんですね。 書いている本人がそうですから、多分読まれている方もあまり面白くないでしょう。 でもそうはいっても、南海トラフの巨大地震が近づいている、あるいは毎年のように“観測記録第1位”という冠のついた豪雨や、非常に大きく強い勢力の台風が過去のルートとは違うルートを通ってやって来る、...

 家庭の防災計画、家庭継続計画(Home Continuity Plan: HCP)、について具体的に我が家を例に作成してみたいと思います。 プライバシーのこともありますので、これから書くことは全て我が家のことを正直に書いていないところがありますので、その辺はご了承下さい。 ただし、HCPの本質は外さないようにしています。 「A検討体制の確立」、「B被害想定」をまず記入して行きます。 以下にその考...

 観測史上最も早く梅雨が明けたかと思うと、再び梅雨のような天気が続き、ここ数日はかつての梅雨の末期のような豪雨が全国各地を襲い、被害が続出しています。 山口県にも先週「線状降水帯予測」が出され、最大限の注意が呼びかけられました。 「線状降水帯」という言葉は最近ではすっかりポピュラーになりましたが、線状降水帯の“予測”がこの6月1日から気象庁より出されることになりました。 これはすごいことと思います...

 この原稿を書いている8月3日、本当に暑い日でした。 広島に出張したのですが、あまりの暑さにボーっとしていて、バスに乗るところを路面電車に乗ってしまい、最寄りの駅から目的地まで歩道の猛烈な照り返しの中、結構な距離を歩くことになってしまいました。 宇部も暑かったですね。 そんな西日本の暑さとは対照的に、東北地方は大変な雨が降っていて、NHKのNEWS WEBを見ると、山形県に大雨特別警報が出され、「...

 「線状降水帯」の予測情報が、九州・山口に7月15、18日に相次いで発表されました。 気象庁が6月1日に予測情報を発表する運用を始めてから初のケースです。 15日午前10時半、山口を含む九州北部と南部に「15日夜から16日午前中にかけて線状降水帯が発生して、大雨災害の危険度が急激に高まる可能性がある」と発表しました。 が、結果的に線状降水帯は発生しませんでした。 一方、18日の午後4時46分、気象...

 「線状降水帯」が次々に現れて東北、北海道地方に大雨を降らしています。 各地で大きな被害が出ています。 今は前線が南下し、ここ宇部も昨日から時々大粒の雨が降っています。 かつては、北海道にはこのようなひどい雨は降っていなかったのではないかと思います。 ふと、ちょうど50年前の夏休みを思い出しました。 当時大学3年生だった私は、今でいえばインターンシップ、当時の言葉では学外実習で、北海道でひと夏を過...

 引き続き札幌での話を。 この年1972年は冬季オリンピックが札幌で開催され、まだ街のいたるところにその余韻が残っていました。 尻もちをついても笑顔で演技を続け、見事銅メダルに輝いたフィギア・スケートのジャネット・リン。 愛くるしい笑顔のポスターが沢山ありました。 70m級で金、銀、銅を独占した笠谷選手をはじめとする日本ジャンプ陣の写真も。 朝起きると徒歩で中の島にある(あの中の島ブルースの舞台で...

 札幌の北海道開発局での実験補助、毎日毎日石狩川の模型を使って洪水の実験をしていました。 写真-1は模型の横でのワンショットです。 セピア色が時代の流れを感じさせてくれます。 三日月湖という言葉がありますが、かつての石狩川の流域には三日月湖がたくさんありました。 石狩川が洪水のたびに流れを変えて、その名残として残っていたのですが、今は開発が進み、宅地等になっています。 これらのもと三日月湖を埋め立...

 のんびりと50年前の札幌での思い出を書いている間に、大変な台風がやってきました。 台風11号です。 大型で強い台風、マスコミ、行政は厳重な注意を呼びかけました。 JR西日本も早々と6日の始発から博多~広島間の新幹線の運転取りやめを決定。 これには困りました。 と言うのは、6日早朝の新幹線で広島へ、そして広島空港から仙台へ飛ぶ予定でした。 広島の会社の人と一緒に、仙台にある建設系の会社を訪問、東日...

 台風11号の後、次々に台風が発生し、天気予報から目が離せない日が続いています。 図-1は15日朝の日本近海の天気図ですが、これを見ると台風14号が日本列島を直撃する可能性があります。 台風による被害は、強風による被害、高潮による被害、降雨による土砂災害などがあります。 図-2は過去宇部に大きな被害をもたらした台風です。 このうち①の昭和17年の「周防灘台風」、そして④の平成11年の台風18号は大...

 台風14号の被害はいかがでしたでしょうか? 台風14号は、18日19時頃に中心気圧935hPa、非常に強い勢力で鹿児島市付近に上陸し、その後19日午前中山口県を直撃する形で進みました。 宇部市防災危機管理課から「警戒レベル3、高齢者等避難」、「警戒レベル4、避難指示」の通報が何度も私のスマートフォンに入ってきました。 昨年秋から腰痛のため、朝起きて1時間ほど歩いています。 自宅から常盤公園まで約...

 台風14号が過ぎ去った20日早朝、常盤公園の周遊園路を歩くと、強風で折れた木の枝や葉が路上に敷き詰められていました。 思わず清少納言の枕草子「野分(のわき)のまたの日こそ」を思い浮かべました。「野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。~略~大きなる木どもも倒れ、枝など吹きおられたるが、萩・女郎花(おみなえし)などの上によころばい伏せる、いと思わずなり。」 倒れた大きな木や萩・女郎花は見る...

 早いもので、この防災徒然日記の第1回を一昨年(2020年)年10月12日に書いて、今回で100回となります。 私が地震工学の研究者としての第一歩を踏み出した昭和51年のころは、我が国は地震の静穏期、風水害もあまりひどいものは無く、私が所属していた宇治にある京都大学防災研究所は割とのんびりしていて、同じ敷地内にある他の4研究所との間での野球のリーグ戦、研究室対抗のソフトボール大会、夏は水泳大会など...

 先週お約束したとおり、これから数回にわたって、首都直下地震の被害想定について書きたいと思います。 その理由は首都直下地震が近づいているからです。 宇部空港から1時間半の遠い(近い?)首都圏のことで、宇部あたりに住んでいる私たちには関係のないこと、と思ってはいけません。 読者の皆さんの中には首都圏に家族の方が、親戚の方が、あるいは友人、知人がたくさんおられるとことと思います。 それだけではありませ...

 関東周辺は図-1に示すように、東から太平洋プレートが年間約8~10㎝のスピードで日本海溝、伊豆・小笠原海溝から北米プレート、フィリピン海プレートの下に潜り込んでいます。 また南からはフィリピン海プレートが年間約4~6㎝のスピードで相模トラフ、南海トラフから北米プレート、ユーラシアプレート(大陸プレート)の下に潜り込んでいます。 それに対して北米プレート、ユーラシアプレートががっしりと受け止めてい...

 中央防災会議、首都直下地震対策検討ワーキンググループが公表した地震被害想定結果は、先週示したように大変な被害を想定しています。 最も大きい被害が「首都南部直下地震」ですが、その被害想定は建物の全壊戸数約24~61万戸、死者数5,000~23,000人、閉じ込められるなどして救助を要する人54,000~72,000人、さらには帰宅困難者640~800万人、避難者約720万人となっています。 100...

 これまで3回にわたって、中央防災会議、首都直下地震対策検討ワーキンググループが公表した地震被害想定結果について説明してきました。 実は、この5月25日に東京都が都の被害想定を公表しています。 前者が東京都とその周辺を含む首都圏を対象としているのに対して、後者は東京都だけが対象です。 都は今回の公表にあたって、『東日本大震災を踏まえ、平成24(2012)年に「首都直下地震等による東京の被害想定」を...

 この5月25日に東京都が公表した都の被害想定結果を再掲します。 被害想定には多くの前提条件と限界があるということを前回書きました。 私自身山口県の地震被害想定の委員長として、その時点での最新の研究成果、データを活用して想定精度を高めることに最善を尽くしました。 しかしながら、地震の発生(断層面上の一点で破壊が始まります)が想定した断層のどこから始まって(震源の位置)、破壊(断層のずれ)がどのよう...

 表は首都直下地震のうち、これまで対象としてきた最も被害が大きい「都心南部地震」による全壊・焼失家屋の数です。 ケースとして、「冬の早朝」:みんな寝ている時間帯、「冬の昼」:多くの人が仕事などで活動している時間帯、「冬の夕方」:多くの家庭が火を使っている時間帯です。 さて、この表を見て、皆さんどのような感想を持たれますか? 数字が大きいか少ないか、というよりも1の位まで、すなわち有効数字6桁まで求...

 今週も引き続き首都直下地震のうち、最も被害が大きいとされる「都心南部地震」による被害の話を書きます。 表-1は先週も掲載しました全壊・焼失家屋の数です。 表-2は人的被害、ここでは死者数を要因別(死因別)にまとめたものです。 この死者数は地震発生直後の数と思ってください。 この2つの表を見比べてください。 地震が起こると約8万2000戸の家が揺れや液状化で壊れるのに対して、大半の人が寝ている早朝...

 今週も引き続き「都心南部地震」による被害の話を書きます。 表‐1は先週も示しました人的被害ですが、先週に比べて要因を3つに簡単にしています。 この死者数は地震発生直後の数と思ってください。 自力脱出困難者は家屋の倒壊によって閉じ込められてしまう人のことです。 その数は冬の早朝がもっとも多く、約35,000人と想定されています。 このほか、避難者数が最大で約300万人(地震後4日~1週間)、帰宅困...

 都心南部直下地震が起こった時の被害について書いていますが、実はこの被害、東京都内どこも一様ということではなく、被害の大きい所とそうでない所があります。 そのことを知っているので、東京へ出張するときには、私はなるべく山手線の外に行かないようにしています。 仕事もだいたい山の手線の内側で済みますので。 基本は「すぐ宇部に帰る」ですが、仕事の関係で宿泊しなければならないときには、多少値段は高くなります...

 図は都心南部直下地震による焼失家屋数の分布を示したものです。 先週の図である全壊家屋数の分布とよく似ています。 高い分布をしまして入る所は木造家屋が多く、しかも密集しています。 地盤が柔らかいのでよく揺れる、したがって全壊家屋数も多いし、火災が発生しても消火活動が困難、したがって焼失家屋数も多い、ということになります。 火災発生件数は最も多いケースである冬の夕方、風速8m/秒で、915件、焼失家...

 首都直下地震、特にその中で被害が最大になると想定されている首都直下南部地震の被害想定に関するお話は、今週で一応終わりとしたいと思います。 図は首都直下南部地震の震源となる断層の位置と大きさ、および震度分布です。 地震のマグニチュードは7.3、ちょうど阪神・淡路大震災と同じマグニチュードです。 強い地震が揺れ続ける時間(継続時間と言います)は阪神・淡路大震災の時が約13秒。 一方、東京湾は地下の深...

 新年明けましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。 昨年は10月から年末までの約3か月間にわたって、首都直下地震の被害想定について書きました。 ただ、それに対してどうしたらよいかという対策については、あまり書いていません。 脅しっぱなしでは無責任のそしりは免れませんので、そのことについてはいずれ書くことにして、新年になって、改めて直接私たちに関係がある南海トラフ巨大地震...

 今週は県による、南海トラフ巨大地震による地震・津波被害想定結果(平成26年3月公表)のうち、宇部市、山陽小野田市、山口市の人的被害について紹介します。 表-1は死者、表-2は負傷者の想定結果を原因別にまとめたものです。 表には比較のために県内で最も人的被害の多い岩国市の結果も示しました。 3段のうち、上段は冬の夕方6時。 暖房や夕食の準備などで最も火を使っている時間帯、また通勤などで多くの人が移...

 先週は宇部市、山陽小野田市、山口市の人的被害について紹介しました。 これら3市の死因は津波であること、そして地震の発生する季節や時間によって犠牲者の数がかわり、宇部市で13~29人、山陽小野田市で45~77人、山口市で21~23人と予測されていることを書きました。 今週からはこれらの数をゼロに出来ることを説明します。 まず先週示した犠牲者の数は、地震が起こってすぐ避難する人の割合が20%、しばら...

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