4 洪水ハザードマップ③
先週は、洪水ザードマップの前提となっている降雨量について、確率・統計の“落とし穴”を含めて考え方を説明しました。もう一点、今回更新された洪水ハザードマップの『家屋倒壊等氾濫想定区域』について説明します。
下図はハザードマップの凡例ですが、『家屋倒壊等氾濫想定区域』はこの中央下半分に説明があります。そこには、「洪水時に家屋の倒壊や流出をもたらすような激しい氾濫流や河岸浸食の恐れのある地域です」。そして、「早めの避難が必要な区域です」とあります。ここで、“家屋の倒壊や流出をもたらすような激しい氾濫流”とは、東日本大震災の時に、津波で家が壊されたり、流されたりした映像が繰り返し放映されましたが、あのイメージです。また、“河岸浸食の恐れのある”とは、過去の豪雨災害の時に、激しい流れで崖が削られて、崖の上にある家が傾いて壊れたり、崖下に落下したりする映像がやはり放映されましたが、これをイメージして下さい。
図 厚東川洪水ハザードマップの凡例
ですから、とても危険な区域、ということです。凡例の説明には、「早めの避難が必要な区域です」と、赤い字で記載してありますが、洪水が起こる時には、絶対、家にいてはいけない場所、ということです。
凡例の右を見ますと、「避難行動」のところにも同様に「早めの避難が必要な区域です」と赤い字で記載があります。しかしながらこちらの「早めの避難が必要な区域です」(以下、前者と言います)と、家屋倒壊等氾濫想定区域に記載してある「早めの避難が必要な区域です」(以下、後者と言います)は意味が違います。
前者の下には4項目注意事項が書いてあります。その4つ目に、「周囲が危険な場合は、屋内の安全な場所で待機しましょう」と、あります。すなわち前者は原則を言っているのであって、避難しそこなっても、2階や場合によってはそれよりも高い階、少なくとも家は壊れることはなく浸水するだけなので、浸水深さよりも高いところへ避難すればよい(よいわけではないのですが)、ということです。これを垂直避難と言います。
これに対して、後者は家そのものが壊れたり流されたりするわけですから、家の中に安全な場所はありません。だから垂直避難はできません。“間違いなく”早めの避難をしなければならないのです。この地域はハザードマップには斜線を引いて示してあります。堤防の上またはごく近く、また、二俣瀬地区、厚東地区、厚南の沖の旦地区には堤防からだいぶ離れたところまで斜線が引いてあります。ぜひ確認をして、絶対逃げ遅れのないように、どのタイミングでどこへ避難するか、準備をして下さい。その際、土砂災害警戒区域・特別警戒区域も見て避難ルートを考えておく必要があります。
(次回は土砂災害)
2020年6月4日