13 高潮災害④
これまで、高潮ハザードマップの前提条件などを説明してきました。今回はその結果、どの程度の海水面の上昇を想定しているかを説明します。これによって過去の災害との比較で、危険性をある程度想定できるのではないかと思います。
図-1はハザードマップを作成するにあたって、想定した水位です。この図の説明にあるように、
①天文潮位による変化:大潮時の満潮位の平均
②台風による潮位変化:潮位偏差と呼ばれるもの
③波浪(高波):台風の強風で起こる波の高さ
そして、厚東川と真締川については
④洪水による川の水位の上昇
これらのすべてが同じタイミングで起こると考えて計算(コンピュータによるシミュレーション)してあります。
図-1 高潮ハザードマップの作成で想定された水位
その結果は、県が平成11年台風18号(台風9918号)の後に高くして整備した堤防高さよりも約1m高くなっています。ですから非常に厳しい前提条件のもとに、この高潮ハザードマップは作成されているということがお分かりになると思います。
台風9918号で実際に高潮災害を受けた多くの人々にヒヤリングをしました。その結果、多くの人が言われていたことの一つに、「あっという間に水が押し寄せてきた」、ということがあります。絶対に事前に避難しないといけないところがある、ということです。実際、山陽小野田市の高潮ハザードマップは、浸水の深さではなく、『事前に避難が特に必要な地区(赤色)』、『事前避難が必要な地区(だいだい色)』、『状況に応じて避難が必要な地区(黄色)』に色分けして示してあります。宇部市のハザードマップとは表示内容が異なります。
もう一つ重要なことは、高潮は必ずしも海に面した堤防を超えてくる、ということではないということです。小さな川や水路、下水路などからも逆流してきます。背後を突かれる、ということも実際たくさんありました。
現在公表されている高潮ハザードマップは500年に1度、だからまず起こらないだろう、という考えは絶対に持たないで、ハザードマップに書いてあることは起こりうる、という前提で、しっかりと読んで欲しいと思います。
そうすれば、実際に台風が近づいてきたとき、その台風と、この高潮ハザードマップの前提条件との何がどのように違うかを見ることによって、浸水が起こるかどうか、起こるとすればいつごろか、その浸水は被害が起こるようなものか、といったことがある程度予想できるようになるのではないかと思います。
次回は揺れやすさマップ(震度)について書きます。