16 揺れやすさマップ③

 先週、山口県が防災計画を立てるために独自に山口大学と数年かけて活断層調査を行って被害想定を行っており、その震度分布が分かっているので、それを説明する、と書きました。
 そのうち、近い将来必ず起こる地震が2つの意地震について説明します。
 1つ目が「南海トラフの巨大地震」、2つ目が「安芸灘・伊予灘の地震」です。

 

 「南海トラフ巨大地震」は、大きく分けて「東海」、「東南海」、「南海」沖に震源域が3つに分かれていて、過去別々に地震が起こったり、一緒に起こったりしています。
 「東南海」は1944年、「南海」は1946年に起こっていますが、「東海」は1854年以来起こっていません。従って、ここには相当地震エネルギーがたまっていて、東海沖で30年以内に起こる確率は約90%とされています。しかもこの東海沖の地震が引き金になって東南海、南海沖も一緒に地震が起こることが危惧されています。その場合のマグニチュード(M)は9クラスになります。この地震が起こったときの宇部市の震度分布を図-1に示します。

 

16 揺れやすさマップ③

図-1 南海トラフ巨大地震による震度分布

 

 

 図-1からわかるように、震度4と震度5弱が大部分を占め、一部空港周辺から西岐波、東岐波の海岸線で5強の可能性があります。

 

 もう1つの地震「安芸灘・伊予灘の地震」は、過去この海域では繰り返しM6、 M7の地震が繰り返し起こっており、M7の地震は1905年の「芸予地震」以来起こっておらず、やはりこの海域にも地震エネルギーが相当たまっています。その大きさはM7クラスです。
 この地震が起こった時の震度分布を図-2に示します。

 

16 揺れやすさマップ③

図-2 安芸灘~伊予灘の地震による震度分布

 

 

 2つの地震で色遣いが違うのでややこしいのですが、こちらは市の大半が震度4、市街地等の一部で震度5弱となっています。
 地震による揺れは地盤条件や地形で異なりますので、両図よりも1階級上の震度、すなわち、5強や6弱もあることも考えておく必要があります。

 

 以上が、いつ起こってもおかしくない地震で、急ぎ備えをしなければならない地震です。気象庁の震度階級関連解説表の説明文を読んで準備して頂きたいと思います。
 先週、宇部市の揺れやすさマップは、“まずは起こりえない状況が前提となっています”と書きました。
 これは少しややこしいので、次回改めて説明します。

 

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