15 揺れやすさマップ②
今週は「宇部市ゆれやすさマップ」について説明します。
図-1に中心市街地を含む市の南部のゆれやすさマップの一部を示します。これを見て、まずほとんどの方が驚かれると思います。市街地の大半が震度6強。特に埋め立て地の工場地帯は軒並み赤色の、震度7に近い震度6強。興産大橋西側の西沖の山はじめ震度7の場所が市内各地に。(市全体、あるいは詳細は宇部市のホームページ“宇部市ゆれやすさマップ”をご覧ください。)
これでは、阪神・淡路大震災の神戸市ではないか、と絶望的になられる方も多いのではないかと思います。しかしながら、これはまずは起こりえない状況が前提となっています。
図-1 宇部市ゆれやすさマップ(南部の一部)
実は、このゆれやすさマップは、図-2に示すように宇部市周辺の活断層(①~⑧)が動いた時、さらには宇部市役所直下に仮想の活断層(⑨)があって、それが動いたときの9つの地震による最大の震度を取り上げて図示したものです。地震工学を専門とする私に言わせれば、このゆれやすさマップは、“人々にあきらめの気持ちをもたらし、対策をする気をなくさせる、よくない情報の典型例”のように思えます。
とはいうものの、やむを得ない面があることも理解できます。
このゆれやすさマップは内閣府の『地震防災マップ作成技術資料』に基づいて作成されています。その考えは、「地震はどこで起こるかわからない」という考えから来ています。事実、山口県以外の大半の県では市町村の役所の下に震源を考えて、地震被害想定を行い、防災計画を立てています。その理由は、活断層調査が必ずしも十分に行われていないからです。
ただ、山口県は独自に山口大学と数年かけて活断層調査を行い、その調査結果に基づいて被害想定、防災計画を立てています。それにより、現実的な震度分布が分かっています。
来週はその説明をしたいと思います。
図-2 宇部市ゆれやすさマップの作り方