12 高潮災害③

 今回はそもそもなぜ高潮が発生するかから説明します。
 高潮を起こす主な原因は2つあります。「吸い上げ効果」と「吹き寄せ効果」と呼ばれるものです。

 

 図-1は「吸い上げ効果」を示したものです。台風の中心気圧は周辺部より低いため、周辺部の大気は中心部より強く海面を押し付けます。すなわちあたかも中心付近の大気は海面を吸い上げるように働きます。その結果、台風の中心付近の海面が上昇します。この「吸い上げ効果」は1hPaの気圧低下で、約1㎝海面が上昇します。

 

12 高潮災害③

図-1 吸い上げ効果

 

 

 図-2は「吹き寄せ効果」を示したものです。強い風が海岸方向に向って長時間吹き続けると、風下の海岸に海水を吹き寄せ、海面が上昇します。

 

12 高潮災害③

図-2 吹き寄せ効果

 

 

 ちなみに、台風9918号の時、宇部港周辺では「吸い上げ効果」によって約53㎝、「吹き寄せ効果」によって約170㎝、合計約223㎝海面が上昇しました。この海面上昇のことを「潮位偏差」と言います。

 

 ではどのようなときに高潮が起こるかというと、まず、
①台風が九州付近に接近あるいは上陸して、周防灘に強い南東の風や東風が長い間吹き続けるとき。吹き寄せられた海水が、狭い関門海峡でせき止められます。その結果、周防灘の海面(特に西部)が上昇します。
②そして台風が、宇部市周辺あるいは、宇部市の西側を通過しそうなとき。台風は北上するとき、台風の目の東側の方が風が強いので、吹き寄せ効果も大きくなります。
③さらに台風の接近が、満潮時(特に大潮)と重なるとき。

 

 私は、台風が九州に近づくと、これらのことをチェックします。①、②は天気予報で、③は山口県ホームページの「山口県土木防災情報システム」を開き、「潮位情報」の潮位・気圧マップを見ます。現時点での、例えば宇部観測所(宇部港)の天文潮位、潮位偏差を見ることができます。天文潮位は2日分のグラフがありますので、いつ頃台風が接近すると危ないかを判断できます。
 潮位偏差の最大時間と満潮時が重ならなければ、高潮による被害は起こらないといえます。事実、1991年の台風19号(リンゴ台風)の方が台風9918号よりも風は強く、潮位偏差も大きかったのですが、台風通過時が満潮時ではなかったので高潮による被害は起こっていません。
 要はタイミングなのです。

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