その2. 防災マップ・高潮編①
1.防災マップの作り方
防災マップは前回書いたように、多くの前提条件や仮定を設けて作成されています。
すなわち、過去発生した災害例やその土地の地形、気象条件などを用いて、コンピュータを使って被害の起こる場所やその程度を推定します。
これをシミュレーションといいます。
このコンピュータによるシミュレーションは基本的に山口県が行い、その結果(データ)が県内の各市町に提供されます。
各市町は県から提供されたデータをもとに、住民にとってわかりやすい形にハザードマップとして作成します。
ただ佐波川の洪水防災マップは佐波川の管理者である国土交通省がシミュレーションを行います。
さて、そのコンピュータシミュレーションで用いる多くの前提条件、仮定ですが、これらはその地域の過去の災害や他の多くの地域の災害などの調査、分析結果など、その時点で可能な限り最新の研究成果を取り入れて設定されます。
しかしながら、その前提条件、仮定が実際のものと異なったら、ハザードマップによる被害の予測と現実に起こる被害は異なることになります。
その顕著な例が、前回も書いた東日本大震災による津波です。
逆に、岡山県の真備町などが大変な被害を受けた平成30年7月の西日本豪雨災害では、ハザードマップに掲載の浸水地域と実際におこった浸水地域、浸水深さもほぼ一致していました。
2.1999年台風18号による高潮被害
1999年(平成11年)台風18号(以下、台風9918号と呼びます)の高潮災害から22年の年月が経ちました。
この高潮では防府市も大変な高潮被害を受けました。
私にとっては、台風9918号による高潮災害はつい昨日のような気がするのですが、20年以上経ったということは、20歳以下の人は経験していないし、30歳以下の人もほとんど記憶にないでしょうから、県内の若者の多くがこの台風9918号による高潮災害のことを知らない、ということになります。
この防災マップの基になる高潮のシミュレーションを、他の災害と同様に県が行ったわけですが、その時の検討委員会の委員長を私が務めました。
コンピュータシミュレーションを行うに際して、様々な角度から検討していますので、その前提条件や防災マップを見るときに気をつけるべきことを次回以降説明したいと思います。
市のホームページ、https://www.city.hofu.yamaguchi.jp/soshiki/2/hazardmap.html で、「高潮浸水予測図」と「高潮危険度マップ・学習面」を見ておいていただけると幸いです。