その23 これからのハザードマップ②

1.地理情報システム(GIS)を使った防災マップの例

 

 現在の防災マップの欠点を補う「地理情報システム」(GIS: Geographic Information System)という技術がある、ということを前回書きました。

 

その23 これからのハザードマップ②

 

 図はGISを用いて、防災マップを重ねている様子を示したものです。

 

 1番上は海岸線、河川、道路、鉄道、避難所などを表した図です。
 2番目は土砂災害編、3番目は洪水編、4番目は高潮編です。
 これらの図はコンピュータの中に地図データとして記録されます。

 

 一番下の図は、これら4つの地図データを足し合わせて(見た目には重ねて)示したものです。
 一番下の重ね合わせた図を見ることによって、様々な災害に対する危険性を同時に見ることができます。
 これにより、どの避難所がどの災害に使えるか、またどの道を通って避難すれば安全か、といったことが一目瞭然です。
 家庭や地域の防災学習に非常に役に立ちます。

 

 

2.GISを使った防災マップを実現するには

 

 以上の例のほか、津波や震度分布、ため池などの防災マップもコンピュータの中に地図データとして整備されていれば、国土地理院の土地利用図や地形図などと重ね合わせて、様々なことを検討することができます。

 

 その一例を国土交通省のホームページで見ることができます。
 国土交通省の「重ねるハザードマップ 」へアクセスして見てください。
 全国の洪水や土砂災害の危険地域を重ねて見ることができます。
 防府市は洪水、土砂災害、津波を重ねて見ることができます。

 

 もし各種の地図データを自由に自分たちのコンピュータに取り入れ(ダウンロードと言います)、コンピュータ上で重ねて見ることが簡単にできるようになったら、自分の、我が家の、あるいはわが町の本当の意味での防災マップができ、災害への備えが可能となります。
 そのためには、統一された基準の地図データが、誰でも、いつでも、どこでも入手することができるようになることが必要です。

 

 今山口県にはDXを推進するためにデジタル推進局が設置されました。
 この推進局がこのようなデータを整備してくれると、山口県民は「安全・安心」という大変な恩恵を受けることができます。

 

 これで「防災マップ深読み」は終わります。
 来週からは幅広く防災に関することを書いたシリーズを始めます。

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