その6 防災マップ・高潮編⑤
1.想定海面上昇
今回はまずどの程度の海面の上昇を想定しているかを説明します。
図は高潮ハザードマップを作成するにあたって、想定した水位です。
図 高潮ハザードマップの作成で想定された水位
この図の説明にあるように、
①天文潮位による変化:大潮時の満潮位の平均
②台風による潮位変化:潮位偏差と呼ばれるもの
③波浪(高波):台風の強風で起こる波の高さ
④洪水による川の水位の上昇
これらのすべてが同じタイミングで起こると考えて計算(コンピュータによるシミュレーション)してあります。
このように悪い条件が重なるといった非常に厳しい前提条件のもとに、この高潮ハザードマップは作成されているのです。
2.防府市高潮危険度マップの意味
台風9918号で実際に高潮災害を受けた多くの人々にヒヤリングをしました。
その結果、多くの人が言われたことの一つに、「あっという間に水が押し寄せてきた」、というのがあります。
絶対に事前に避難しないといけないところがある、ということです。
実際、高潮危険度マップ・学習面の防府市高潮危険度マップには、『事前避難が特に必要な地区(桃色)』、『事前避難が必要な地区(橙色)』、『状況に応じて避難が必要な地区(黄色)』が色分けして示してあります。
(https://www.city.hofu.yamaguchi.jp/uploaded/attachment/42831.pdf)
ここで重要なことは、高潮は必ずしも海に面した堤防を超えてくる、ということではないということです。
小さな川や水路、下水路などからも逆流してきます。背後を突かれる、ということも実際たくさんありました。
実際に台風が近づいてきたとき、その台風の状況(気圧、風速、進路、最接近時など)と、この高潮ハザードマップの前提条件とを比べ、何がどのように違うかを見ることによって、浸水が起こるかどうか、起こるとすればいつごろか、その浸水は被害が起こるようなものかどうか、といったことがある程度予想でき、早めの準備ができるのではないかと思います。