その11 土砂災害編②
1.地下水が悪さをする
先週、土砂災害には水が大きな“悪さ”をする、と書きました。
その悪さをする水の中でも特にタチの悪いのが地下水です。
地下水がどこにどれくらいあるかは当然ハザードマップを作る時には分かりません。
ましてや降雨によって地下水の量がどれくらい増えたか、また地下水の流れがどう変わったかなども分かりません。
それには地質や地下構造、さらには地上の植生も関係します。当然ながらこれらはハザードマップ作成には考慮できません。
したがって、イエロ―ゾーン、レッドゾーンは土砂災害が起こる可能性のあるところ、と考え、その中に住んでいる人は当然のこと、その周辺に住んでいる人も、特に下流に住んでいる人は十分注意が必要なのです。
2.土砂災害警戒情報
先週イエローゾーン、レッドゾーンを過信してはいけないとも書きました。
(レッドゾーンはイエローゾーンに含まれますので以下イエローゾーンだけで話をします。)
その理由は、過去実際に土砂災害が起こった場所とイエローゾーンが完全に一致していないからです。
これは気まぐれな自然を相手に、過去の観測と科学的な理論をもとに、ある前提のもとに決められたものだから仕方のないことなのです。
イエローゾーンに指定されていても実際に土砂災害が起こらなかった、これは安全上問題ありません。
しかし逆に、イエローゾーンに指定されていないところで土砂災害が起こる、これは問題です。
残念ながら昨今の大雨による土砂災害では、イエローゾーンから外れたところでも土砂災害が起こったり、イエローゾーンよりも広い範囲まで土砂が流れたり、といったことが実際起こっています。
そこで最近は大雨が降り、あるいは降る可能性があるときに「大雨警報」が出され、さらに土砂災害のおそれがある時には、県と下関地方気象台から市町ごとに「土砂災害警戒情報」が図のような危険度レベルとして発表されます。
この「土砂災害警戒情報」は、地下にどれくらい水がたまったか、ということを判断の一つにしています。これについては来週詳しく説明しましょう。
図 土砂災害の危険度のレベル