その9 洪水編③
1.家屋倒壊等氾濫想定区域とは
先週は、洪水防災マップの前提となっている降雨量について、その考え方を説明しました。
今週は新たに導入された『家屋倒壊等氾濫想定区域』について説明します。
図は佐波川洪水編の情報面の一部を抜粋したものです。
図 浸水の深さと避難行動 (佐波川洪水編の情報面の一部)
浸水の深さと避難行動(避難先)の関係が示してあります。
この中に浸水の深さ3m以上のところに『家屋倒壊等氾濫想定区域』とあります。
この区域は“家屋の倒壊や流出をもたらすような激しい氾濫流”の可能性があるところです。
東日本大震災の時に、津波で家が壊され、流される映像が放映されましたが、あのイメージです。
また、“河岸浸食の恐れのある”ところでもあり、過去の豪雨災害の時に、激しい流れで崖が削られて、崖の上にある家が傾いて壊れたり、崖下に落下する映像が放映されましたが、これをイメージして下さい。
2.絶対に早めの避難を
図を見ますと、「5m以上の浸水」、「3~5mの浸水」では「絶対に避難する」の矢印につながっています。
それに対して0.5~3mまでの浸水では『家屋倒壊等氾濫想定区域』では「必ず避難する」、そして「絶対に避難する」の矢印につながっていますが、そうでない区域で逃げ遅れたときには「2階以上、または危険のない近くの高い建物へ」とあります。
すなわち避難しそこなっても、2階やそれよりも高い階へ避難することとなっています。
これを垂直避難と言いますが、この垂直避難は家が壊れないことが前提になっています。
これに対して、『家屋倒壊等氾濫想定区域』内の家は家そのものが壊れたり流されたりするわけですから、家の中に安全な場所はありません。
ですから垂直避難はできません。
“絶対に”早めの避難をしなければならないのです。
この地域は防災マップには斜線を引いて示してあります。
ぜひ確認をして、絶対逃げ遅れのないようにして下さい。
その際、土砂災害警戒区域・特別警戒区域も見て避難ルートを考えておく必要があります。
(次回は土砂災害)