その8 洪水編②
1.山口県の洪水ハザードマップ
山口県には県が管理する河川が474あります。
いわゆる2級河川です。
国が直接管理する河川は1級河川といい、県内では前回説明した佐波川と、広島県との県境を流れる小瀬川の2河川だけです。
2級河川が多いのが山口県の特徴です。
2級河川の洪水浸水想定区域図やハザードマップの作成対象は64河川あり、すでにシミュレーションは終わり順次洪水浸水想定区域図の指定・公表がおこなわれ、防府市を流れる柳川、馬刀川のハザードマップも更新されるでしょう。
2.「想定しうる最大規模の降雨」 とは
更新されたハザードマップには「想定しうる最大規模の降雨」、あるいは「最大想定規模」という言葉が使われています(図)。
図 佐波川防災マップ(洪水編)の一部
実は明治以降、降雨記録が残されていて、降雨量の多い少ないは地域によってずいぶん異なります。
気象庁は地域ごとに過去の降雨量を統計的に解析しています。
その結果から、大体山口県の防府地域は50年に一度、あるいは100年に一度の豪雨はこれくらいの降雨量、というデータがあります。
河川の整備はこのデータをもとに行われます。
またこれまでの洪水ハザードマップもこの降雨量を前提として作成されていました。
佐波川でいえば、更新前の『2日間総雨量365㎜』というのがそれです。
ところが皆さんも「最近の雨の降り方は異常では?」、という実感をお持ちのことと思います。
気象庁のアメダスが運用され始めて約45年たちますが、この間明らかに時間雨量50㎜や100㎜を超える降雨の回数が増えています。
そこで、これまでの観測記録も考慮に入れながら、考えうる最大の豪雨に対してハザードマップを作ろう、という考えに変わりました。
統計的には数百年に一度、あるいは地域によっては千年に一度の豪雨、ということになります。
しかしながら、ここ数年、「観測史上最大の」、とか、「過去の記録を大幅に上回る」、と言った雨が全国各地で降っています。
たとえ何百年、あるいは何千年に一度の雨、といっても、そのような雨が今年降っても全くおかしくはありません。
ハザードマップに示された洪水が今年起こるかもしれない、という気持ちでハザードマップを読みましょう。