その5 防災マップ・高潮編④
1.防災マップ高潮編の想定条件
前回は高潮が起こる条件(起きる仕組み)を説明しました。
今回は防災マップ高潮編の想定条件について説明します。
防府市防災マップ高潮編の「高潮危険度マップ・学習編」をご覧ください。
お持ちでない方は、下記の防府市のホームページで見ることができます。
https://www.city.hofu.yamaguchi.jp/uploaded/attachment/42831.pdf
「台風の想定条件」は「防府市高潮危険度マップ」の下右側にあります。
その最初に、『山口県に影響を与えた過去最大の台風と同規模の台風が防府市に最も影響のある経緯を進んだ場合を想定し浸水予測を行いました』とあります。
2.過去に被害をもたらした台風
防災マップを作成するには、モデルになる台風が必要になります。
このモデル台風の候補として、記録がきちんと残っていて、防府市に(というより山口県が行った検討ですから、山口県に、といった方が正しいでしょう)大きな高潮被害をもたらした4つの台風を検討しました。
年代順に、
①昭和17年の周防灘台風。
過去山口県に最大の被害をもたらした自然災害で、県内で約800人の方がなくなっています。
②昭和20年の枕崎台風。結果的にモデル台風としています。
③平成3年19号台風(台風9119号)。
青森県のリンゴ園に大変な損害を与えたので、リンゴ台風とも呼ばれています。
④平成11年台風18号(台風9918号)。
山口県内に大きな被害が生じました。
表にこれら4つの台風の主な気象記録をまとめて示します。
表 検討の対象とした台風とその主な気象記録
検討では、これら4つの台風が山口県を縦断するときに、その経路を0.5°ずつ東西にずらして、最も危険になる台風を選びました。
その結果が枕崎台風だった、ということです。やはり最低中心気圧935hPaが利いたようです。
3.発生頻度について
枕崎台風クラスの台風が山口県を襲う確率を過去の記録から算出したところ、大体90年に一度(すなわち1/90)。
満潮時に台風が直撃すると高潮災害が起こりますので、満潮時の±1時間がその危険時間とすると、1日に2回満潮があるので、合計4時間、すなわち1/6(4時間/24時間)が危険時間ということになります。
そこで、1/90×1/6=1/540となり、約500年に一度、ということになります。
ただこれはあくまでも計算の上で、昨今のように台風が強大化しています。
今年起こるかもしれません。
いずれにしても台風の最接近時が満潮時か干潮時かで大きく被害の様子が変わります。