その1. 気がかりは

1.新しいシリーズをはじめるにあたって

 

 1995年の阪神・淡路大震災から3か月後の4月、山口県は防災会議(会長:知事)の下に地震対策専門部会を設置し、県の地震に対する防災計画の抜本的見直しを始めました。
 私はその部会長に就任し、その第一歩として、地震被害想定を急ぎ行いました。
 以来3回地震被害想定を見直し、その結果は県の地域防災計画「地震対策編」に反映されています。

 

 地震被害想定が一段落したタイミングで、平成10年に県は「地震対策専門部会」を「防災対策専門部会」に改編、地震だけでなく風水害も含めて、広く山口県の災害対策を専門的な立場から検討し、それを山口県地域防災計画に反映することになりました。
 私は引き続きその部会長を一昨年3月まで努めました。
 この間、県内には様々な災害が発生し、ほぼその度に防災対策専門部会の下に専門検討委員会が設置され、多くのことを検討してきました。
 ほぼそのすべての検討委員会の委員長も私が務めました。
 ハザードマップは最終的には市町が作成しますが、元となる検討、コンピュータによるシミュレーションは県が行います。
 そのほとんどにも関わりました。

 

 長期間にわたって、県や市町の防災に関わらせて頂き、多くのことを学ばせて頂きました。
 この経験を少しでも多くの人に伝えたいと思います。
 そのような思いで、この「防災・減災のススメ」では様々な災害や防災に関することを書いていきたいと思います。

 

2.気がかりは

 

 気候変動のせいか、最近の雨の降り方は明らかに異常と思えます。
 毎年国内外で大変な豪雨災害が起こっています。
 台風も大きく、強くなり、進路も最近はかつてない経路を通って大きな被害を起こしています。
 このような風水害も非常に気になっていますが、何よりも気になっているのが「南海トラフの巨大地震」と「首都直下地震」です。

 

 東日本大震災の時に、その前の巨大津波を伴った地震として「貞観の地震(869年)」が注目されました。
 図は貞観地震からその後に起こった大きな地震、「白鳳地震(878年)」、「仁和地震(887年)」で、前者は今日でいう「首都直下地震」、後者は「南海トラフの巨大地震」に対応する地震がいつ起こったかを描いたものです。

 

その1. 気がかりは

 

 この図に示すように「白鳳地震」は貞観地震の9年後に、「仁和地震」はさらにその9年後に起こっています。
 東日本大震災から10年が経ちました。
 他にも理由がありますが、「首都直下地震」、「南海トラフの巨大地震」が確実に迫っています
 これらの地震が非常に気になっています。

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