その87. 風水害への備え⑤「高潮ハザードマップ」
この4月全戸に「高潮ハザードマップ」が配布されました。
今も持っておられる方も多いと思いますが、以前にも高潮ハザードマップは配布されています。前回のハザードマップと今回配布のハザードマップの違いは何でしょうか?
今回配布のハザードマップは、「想定し得る最大規模の高潮」による氾濫が発生した場合の浸水域、深さを表示しています、とあります。
両者の違いをごく簡単にまとめたものが次の表です。
前回のハザードマップが“山口県及びその近く”を通過した最大規模の台風、すなわち枕崎台風およびリンゴ台風の規模を想定していたのに対して、今回は“わが国”を襲った最大規模の台風、すなわち室戸台風および伊勢湾台風の規模を想定しています。
想定した台風の中心気圧は前回が935hPa、今回は910hPaです。
このようなとんでもない台風が防府を直撃した場合を想定して作成されたハザードマップです。
ちなみに枕崎台風は枕崎市に上陸、戦後直後の日本を直撃した台風で、最低気圧865hPa、上陸時916hPa、死者行方不明者は約4,000人です。
リンゴ台風は青森まで強い勢力が続き、収穫前のリンゴに大きな被害を及ぼしたことからこのように呼ばれています。
最低気圧925hPa、九州上陸時は940hPa、山口県でも強風による大きな被害がありました。
ただこの時は満潮時と重ならなかったので、高潮による人的被害はありませんでした。
室戸台風は京阪神地域を直撃し、上陸時の気圧は912hPa、全壊半壊、床上・床下浸水の家屋が50万棟以上、死者行方不明者は3,000人に上っています。
伊勢湾台風は最低気圧が895hPa、潮岬上陸時920hPa、紀伊半島を北上、伊勢湾の海水が濃尾平野を埋め尽くし、この高潮災害によって死者、不明者は約5,000人にも上っています。
最近の気象状況を見ていると、最悪の場合、このような状況も起こりうると考えて備える必要があり、水防法の改定に伴って、今回のハザードマップの改定となったわけです。