その15. 宇宙から地球を観測①
日曜日の夜のTV番組「日本沈没」に触れ、日本及びその近海には、国の省庁、研究機関、大学が非常に多くの地震をはじめとする各種の観測ネットワークを展開していて、多くの研究者が観測に関わっており、一人の研究者だけに情報が集中するということはあり得ない、と書きました。これから少し具体的に観測に関する最前線のお話を。
まず宇宙から。
地球を観測する衛星が多くの国から打ち上げられています。
人工衛星に搭載されている地球を観測するセンサーには二種類あります(図参照)。
一つは光学センサーといって、太陽の光のうち、可視光、すなわち赤色(Red)、緑色(Green)、青色(Blue):RGBと言われている光の三原色、および赤外線を観測するセンサーです(図左)。
このセンサーで観測されたデータは、あたかも航空写真のように見てすぐに地上の様子を理解できるように処理できます。
しかしながら太陽光の反射波を観測していますので、太陽の出ている昼間しか観測できません。
しかも人間の目で見えるように、ということは雲が上空を覆っているとその雲が映って、地上を見ることができません。
もう一つのセンサーはマイクロ波センサーといって、人工衛星がマイクロ波を地上に向けて照射し、その反射波を観測します(図右)。
衛星自身がマイクロ波を照射するわけですから、太陽が出ている必要はありません。
ということは夜でも観測できることになります。
しかもマイクロ波は可視光に比べて波長が長いため、雲を透過します。
ということは天気が悪くても地上の様子を観測できるのです。
昼でも夜でも、天気が良くても悪くても地上を観測できる、と書くと非常に優れモノのように思われますが、マイクロ波センサーにも弱点があります。
光学センサーはR、G、Bの他に赤外線を入れて、4種類以上の波長の波の観測をしています。
一方のマイクロ波センサーは1種類の波長なのです。
ということは色を着けて人間が見てすぐわかるような処理が基本的にはできないことを意味します。
マイクロ波センサーのデータを処理するにはある程度高度な技術が必要ということになります。
実際には、光学センサーとマイクロ波センサーの両方をうまく使って解析をすることが理想です。
ただ、現在JAXAの地球観測衛星はマイクロ波センサーのみを搭載した「だいち2号」だけが地球の観測をしています。
次回はもう少し詳しくお話したいと思います。