その18. 宇宙から地球を観測④
先週はJAXAが今年度中に打ち上げ予定の「だいち3号」が南海トラフ巨大地震の観測を念頭に置いて、一度の軌跡(パス)で非常に広い範囲の観測、すなわち南海トラフの巨大地震で被害が大きい太平洋沿岸の広い範囲を撮影できるように設計されていること、あわせて、空間解像度が80㎝ということも書きました。
実は、JAXAは「だいち4号」という現在運用中の「だいち2号」の後継機も来年度打ち上げの予定です。
「だいち2号」は打ち上げが2014年5月ですから、既に7年経過しています。
設計寿命が5年ですので、そろそろ「だいち」のように寿命が来てもおしくありません。
そこでJAXAは「だいち2号」の後継機として「だいち4号」の打ち上げの準備をしているのです。
この「だいち4号」の空間解像度は「だいち2号」の約3mとおなじですが、観測幅が「だいち2号」の約4倍の200㎞です。
これくらい幅があると、「だいち2号」では山口県全体をカバーするのに4~5枚の撮影が必要で得したが、1枚で済みます。
空間解像度3mで観測幅が200㎞というのもすごいですね。
いまJAXAが考えているのは、南海トラフの巨大地震、首都直下地震を想定して、今運航中の「だいち2号」に加え、これから打ち上げる「だいち3号」、「だいち4号」、さらには海外の人工衛星も含めて被災地のどこがどのタイミングで撮影できるかをシミュレーションして、準備を進めていることです。
詳細は省きますが、図は南海トラフ巨大地震発生後の撮影のシミュレーションです。
可能な限り多くの人工衛星を活用して、被災地をできるだけ早く撮影、網羅し、膨大な量のデータをAIを用いて迅速に解析し、その結果を政府や都道府県、防災関連機関等に速やかに提供する、という準備をしているのです。
JAXAは「はやぶさ」のように宇宙の探索と共に、私たちの安全な生活に直接役立つ防災の研究開発もしています。