その131. 山口県地震・津波防災対策検討委員会②

 東日本大震災までは東海、東南海、南海地震と別々に考えていた地震を、南海トラフ巨大地震一つとして想定することが国の方針として決まりました。
 そのために第4回目の被害想定を行うことになったことまで先週書きました。

 

その131. 山口県地震・津波防災対策検討委員会②

 

 図は、その東海、東南海、南海地震と、南海トラフ巨大地震の震源を比較して示したものです。

 

 マグニチュード(以下M)は東海、東南海、南海地震がM=8~8.5でした。
 これに対して南海トラフ巨大地震はM=9程度になると考えられます。

 

 Mが8と9では1.125倍(9÷8=1.125)しか違わないと思われるかもしれませんが、実は大違いなのです。
 Mが1違うとエネルギーは約32倍違います。
 ちなみにMが0.2大きくなるとエネルギーは約2倍になります。

 

 こう書くと、マグニチュードとエネルギーの関係は厳密なもののように思えますが、両者の関係式の誘導を約45年前の助手のころに調べたのですが、あっと驚くような仮定をいくつも使って導かれていました。
 いまだにその式が使われているのも驚きですが。
 だから私は両者の関係はあまり厳密には考えていません。

 

 さて、地震は断層面が破壊して食い違う現象ですが、実はこの食い違い量は断層面上で一定ではなく、実にバラバラなのです。
 ある所は大きく、ある所は小さく、さらには破壊しないところもたくさん残ります。
 そしてこの破壊しなかった多くのところが後に破壊します。
 これが余震です。

 

 地震の震度に影響を及ぼすのは、実はこの大きく食い違う所が断層面上のどこにあるかということです。
 これは地震が起こった後に、観測されたたくさんの地震波を分析することによってはじめて分かります。
 事前には分かりません。

 

 ではどうするか、というと、仮定するしかありません。
 これから起こる地震の震度を計算するのに、実に大胆な仮定をします。
 その仮定は、これまでの多くの地震の分析で分かった知見をできるだけ取り入れます。

 

 そして安全側を考えて(最悪の事態を考えて)震度が大きくなるように大きく食い違う場所の分布を陸に近いところに仮定します。
 この分布は国が複数決めます。
 それらを用いて都道府県は震度分布を求めることになります。

 

 

 

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