その58. 首都直下地震④
これまで3回にわたって、中央防災会議、首都直下地震対策検討ワーキンググループが公表した地震被害想定結果について説明してきました。
実は、この5月25日に東京都が都の被害想定を公表しています。
前者が東京都とその周辺を含む首都圏を対象としているのに対して、後者は東京都だけが対象です。
都は今回の公表にあたって、
『東日本大震災を踏まえ、平成24(2012)年に「首都直下地震等による東京の被害想定」を策定し、その想定に基づき、様々な防災対策を推進してきた。
前回被害想定から約10年が経過する間、住宅の耐震化や不燃化など、安全・安心な東京を実現するための取組が着実に進展する一方、高齢化の進行や単身世帯の増加など都内の人口構造や世帯構成が変化している。
そこで、平成28年熊本地震など全国各地で大規模な地震が頻発する中で、最新の知見等が蓄積されたので、この10年間の様々な変化や最新の科学的知見を踏まえ、被害想定を見直すこととした』
と述べています。
表は今回の東京都の被害想定と、参考までにこれまで説明してきた中央防災会議の被害想定を同じ形式にして比較したものです。
東京都の被害想定によると死者は揺れなど(倒壊した建物の下敷きになるなど)が約3700人、火災が約2500人で合計約6200人となっています。
これはこれだけで大変なのですが、皆さんはこの数字をどのように思われますか?
多いと思われるか、少ないと思われるか、こんなもんかと思われるか。
被害想定には多くの前提条件と限界があります。
そのことを踏まえて、これからこれらの数字の意味するところを少し詳しく説明していこうと思います。
実はこんな数字ではおさまらないと思われるようになることでしょう。