その38. 南海トラフ巨大地震の長期評価

 この3月25日に政府・地震研究推進本部から「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価」(第二版)が発表され、それに関連して日向灘や奄美、沖縄諸島周辺の地震が起こる可能性について“その34,35”で、そしてそれに関連して先週、先々週は「安芸灘~伊予灘」の地震について書きました。

 

 実は「南海トラフの地震活動の長期評価」も2013年5月に発表されています。
 これには非常に重要なことが述べてあるのですが、東日本大震災から2年後で、まだ報道機関は東日本大震災の報道に追われ、あまり大きく報道されなかったように思います。

 

その38. 南海トラフ巨大地震の長期評価

 

 図は南海トラフで起こった過去の地震です。これに似た図は“その26”でも紹介していますので、覚えていらっしゃる方も多いと思います。
 発生した年が古い地震については、歴史資料がなく見落とされている可能性がありますが、この図からわかることは、南海トラフで繰り返し地震が起こっていること、しかしながらその震源域の広がり方に多様性があるということです。

 

 一方、海底堆積物や津波堆積物のボーリング調査などから、684年より前にも南海トラフで大地震が繰り返し起きていたことも分かってきました。
 例えば高知県の蟹ヶ池で見つかった津波堆積物の痕跡より、約2,000年前に、四国の太平洋沿岸に宝永地震(1707年発生。歴史上最大級と考えられている)よりも大きな津波が押し寄せた可能性が指摘されています。

 

 実は2001年にも長期評価が公表されていますが、前回の長期評価は以下のように変更されました。
◆前回の評価(2001):
  南海地震の発生確率:60%、東南海地震の発生確率:70~80%
◆今回の評価(2013):
  南海トラフのどこかで地震が発生する確率:60~70%

 

  「前回の評価」から20年以上、「今回の評価」から10年近く経過しています。
 ですからいずれにせよ地震の発生する確率はこれらの数値よりも高くなっています。
 実は「今回の評価」には非常に重要なことが書いてありますが、これについては次週説明したいと思います。

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