その5. 安芸灘・伊予灘の地震による被害
1.防府市の震度分布
安芸灘・伊予灘の地震がいつ起こってもおかしくないのか、その理由を先週書きました。
この前のシリーズ「防災マップ深読み」の「その15、16」でも紹介しましたが、図-1は安芸灘・伊予灘の地震による防府市の震度分布です。
市の大半が震度5弱、山地で震度4となっています。
ここで注意が必要なのは、この図は500mx500mメッシュ(範囲)の平均の震度です。
地震による揺れは地盤条件や地形などの狭い範囲の変化で大きく異なりますので、この図よりも1階級上の震度、すなわち、5強もありうることも考えておく必要があります。
2.人的被害想定
表-1は平成20年3月に山口県が公表した「山口県地震被害想定調査報告書」から防府市における人的被害をまとめたものです。
山口県のホームページでもこの報告書を見ることができます(https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a10900/bousai/soutei.html、山口県地震被害想定調査報告書について)。
被害想定は冬の早朝(5時)、昼(12時)、夕方(18時)で、それぞれ風速3m/秒、15m/秒という前提で行われています。
冬はストーブなどの火をよく使うから、また風速15m/秒も考えているのは、もし火災が起こった時に延焼が大きくなり、被害も大きくなるからです。
結論から言えば、防府市では、火災の発生は0、土砂災害の発生も0、また津波は震源が深いために発生せず、したがってこれらの原因による人的被害は0になっています。
人的被害が出るのは建物の倒壊、家具の転倒や移動によるものがほとんどということが分かります。
よほど古い家に住んでいない限り家が倒壊することはありませんから、家具の固定が非常に重要ということになります。
その他は、屋外の看板やブロック塀、自動販売機などの落下や転倒などによるものです。
この被害想定結果は、図-1の震度に対して求められています。
ですから場合によってはこれよりも大きな被害が出る可能性も考えられます。
逆にこれらの数字は対策さえすればいくらでも0にすることができるということも強調しておきたいと思います。