その40. 家庭継続計画:HCPのススメ①

 ここ数回、南海トラフの巨大地震が目の前に迫っている、と書いてきました。
 私は事実を述べているだけなのですが、取り方によっては脅しているようにも受け止められるでしょう。

 

 南海トラフの巨大地震が来るぞ、来るぞ、と脅しているだけで、どう準備して対応するかということを書かないと、無責任と思われても仕方ありません。
 そこでこれから数回にわたって、南海トラフの巨大地震に限らず風水害も含めて、どのように災害に備えるかを書きたいと思います。

 

 さて、事業継続計画(Business Continuity Plan:通称BCP)というものがあります。業務継続計画とも呼ばれおり、ご存じの方も多いと思います。
 災害があっても最低限の事業が継続できるように、そしてできるだけ早く通常の業務に戻れるように、早期に復旧できる計画を事前に立てて、対策をたてる、さらには訓練もして常に見直しをする、というものです。

 

 中小企業庁、国土交通省、厚生労働省などの省庁は具体的な例を示しながらBCPの策定を推奨しています。
 中小企業庁はBCPを策定すると防災力向上に必要な費用の融資制度を設けていますし、国土交通省は公共工事の入札に加点をしています。
 厚生労働省は介護施設に対してBCPの策定を義務化(2024年より)しています。

 

 わが国の大企業はほぼこのBCPを策定しています。
 ただ中小の企業はその策定率がぐっと下がります。
 その理由として、BCPはISOと混同されて、BCP策定には大変なお金と人と時間がかかる、また維持費もかかると思われている節があるのです。

 

 確かにBCPは考えれば考えるほど難しくなり、時間もかかります。
 しかし実際にはBCP策定の第一歩を始めることはそう難しいことではありませんし、時間もお金もそんなにかかりません。
 少しずつ見直しをしながら充実したものにしていけばいいのです。

 

 私はサプライチェーンを考えると、中小企業こそBCPを策定する必要がある、さらに中小企業のBCPを有効にするには、家庭の防災計画、私の造語ですが、家庭継続計画(Home Continuity Plan: HCP) が非常に重要であると考えています。
 このHCPの中身は自分の家庭に合うようにハザードマップ等に書いてあることをBCPの形式にまとめたものです。
 先週も書きましたが、南海トラフ巨大地震が起こっても、山口県は死傷者ゼロにできる、努力が報われる県と思っています。
 次週から具体的にHCPの策定方法をご紹介したいと思います。

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