その60. 首都直下地震⑥
表は首都直下地震のうち、これまで対象としてきた最も被害が大きい「都心南部地震」による全壊・焼失家屋の数です。
ケースとして、「冬の早朝」:みんな寝ている時間帯、「冬の昼」:多くの人が仕事などで活動している時間帯、「冬の夕方」:多くの家庭が火を使っている時間帯です。
さて、この表を見て、どのような感想を持たれますか?
まず気が付くのは、有効数字6桁まで求めてあり、そんなに精度よく被害が想定できるのだろうか?とという疑問ではないでしょうか?
答えは前回にも少し触れましたが、全壊家屋を例にとれば、同じ震度であってもいつ建てられたか、どのような地盤の上に建っているかなどによって大きくばらつきます。
図は埋め立て地などの比較的地盤の柔らかい場所に建てられた木造家屋の全壊率を震度との関係です。
この図ではいつ建てられたかをパラメータとして示してあります。
1980年より前と1981年より後に建てられた家では同じ震度でも全壊率がだいぶ違うことが分かります。
さらに言えば、古いほど全壊率が高くなっています。
このようなグラフを見ると、なるほど、このようにきれいに傾向が出るのか、と思われるかもしれませんが、実際はこれらの曲線の周り大きくばらついたデータがあります。
それをエイヤッときれいな曲線で表します。
それを式で表してコンピュータで計算するわけです。
コンピュータに家屋数を入れればそれに全壊率をかけて全壊家屋数が表のように1の位まで出てきます。
表の話に戻ります。
有効数字の不思議はこの通りですが、問題はこの数字が多いか、少ないか、そしてそれによって人的な被害がどのようになるのかということです。