その77. トルコの地震②
先月2月6日のシリアとの国境に近いトルコの東部で起こった最初のM7.8の地震のエネルギーは、わが国で起こった熊本地震の約16倍、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の約22倍という非常に大きなものであった、ということは先週書きました。
今回のトルコの地震で記録された最大加速度は1800ガルに近い記録もあり、熊本地震や阪神・淡路大震災などの日本の直下地震、あるいは東日本大震災の最大加速度にも匹敵しています。
地表面速度も最大値は100㎝/秒(カイン)を超えた所がたくさんあり、200カインを超えた所もあります。
日本の直下地震のカインと同等かそれ以上です。
ニュース等では地震の揺れを表すのに最大加速度“ガル”が良く取り上げられます。
これは加速度αに質量mを掛けると力fになる、式で書くとf=mαですが、要は構造物にかかる地震の力fは加速度αに比例する、という所から来ています。
加速度に比例して地震力も大きくなるわけです。
一方で、構造物の被害は加速度よりもむしろ速度の方がキクということが分かっています。
それは少し難しくなりますが、構造物に作用する力の継続時間に関係します。
一瞬ポンと力がかかるよりも、少しの間でも継続して力がかかっている方が壊れやすくなるわけです。
図は断層近くで観測された速度記録で、左の列は地表面がどのように動いたか(縦軸が南北、横軸が東西)、右の列が時刻歴です。
時刻歴を見ると、100~200カインのパルスのような波形があります。
この継続時間が1~2秒のパルス状の波形、これが構造物の倒壊に大きな働きをしたと考えられます。
トドメを刺す、と言う意味で“キラーパルス”と呼ばれます。
このように地震波そのものが非常に大きかったということも大災害になった理由の一つですが、他にも大きな理由があります。
それは次回以降に。