その61. 首都直下地震⑦
今週も引き続き「都心南部地震」による被害について。
表‐1は先週も掲載の全壊・焼失家屋の数です。
表‐2は人的被害、ここでは死者数を死因別にまとめたものです。
この死者数は地震発生直後の数と思ってください。
この二つの表を見比べて下さい。
地震が起こると約82,000戸の家が揺れや液状化で壊れるのに対して、大半の人が寝ている冬の早朝に地震が起こると、死者が約4,900人、また火災は27,000戸焼失するのに対して死者が671人となっています。
ストーブなども含めて最も火をよく使う冬の夕方は火災による焼失棟数が約12万棟に上るのに、火災による死者は約2,500人と想定されています。
いかがでしょう、多分読者の皆さんは死者がこれくらいの数で済むのだろうか、という疑問を持たれるのではないでしょうか。
その直感は正しいと思います。
先に、この数は地震発生直後の数と思って下さい、と書きました。
時間の経過とともに間違いなく犠牲者の数は増えていきます。
実は、家屋の倒壊によって実に多くの人が閉じ込められてしまいます。
これらの人のことを自力脱出困難者とも言います。
その数は冬の早朝がもっとも多く、約35,000人と想定されています。
救助活動をすぐに行うことができないと、また消火活動が追いつかず火災が延焼すると、この35,000人と言う数は死者の数へと変わっていきます。
来週はもう少しこれらのことを説明したいと思います。