その3. 南海トラフ巨大地震による揺れ
1.西日本各地の震度分布
南海トラフの巨大地震が起こった時の防府市の震度や津波については、この前のシリーズ「防災マップ深読み(その13~21)」に書いていますが、今度は少し違う観点から説明していきたいと思います。
図-1は国によって示された、南海トラフ巨大地震が起こった時の西日本の震度分布です。
これより分かるように、伊豆半島の西部から宮崎県に及ぶ非常に広い範囲の太平洋沿岸で震度6強、場所によっては震度7が想定されています。
山口県はこの図で見ると、大半が震度4で県の東部で震度5弱という結果になっています。
国の想定では全国を対象に非常に広い範囲をコンピュータでシミュレーションするので、どうしても震度などを求める際、ある程度広い範囲の平均値ということになります。
そこで県がより詳細な解析をした結果がすでに「防災マップ深読み」で紹介した震度分布です。
その結果は、防府市では市街地の大半が震度5弱、東部の沿岸部で5強、山地では4となって、国の想定よりも高くなっています。
2.揺れの長さ
さて問題はその揺れがどれくらい続くか、ということです。
図-2は高知県のホームページにある、地震による揺れの長さを比較した図に南海トラフ巨大地震が起こった時の揺れの長さを加えたものです。
この図に示したように、南海トラフ巨大地震が起こった時には3~4分揺れる可能性があります。
南海トラフ巨大地震の震源域は長さ800㎞にも及びます。
地震はこの震源となる断層が一度に破壊するのではなく、ある一点から破壊が始まり、秒速約3㎞の速さで伝わります。
断層の中央で破壊が始まったとすると、半分の400㎞を破壊が伝わるのに400÷3=133秒、すなわち2分以上かかり、この間ずっと地震波が放出され続けます。
地震波は反射や屈折などを繰り返して伝わるので、さらに長くなり、結局3~4分にもなるわけですが、この3~4分は長いですよ。