その2. 南海トラフの巨大地震
1.西日本の地震活動
図-1は江戸時代以降の西日本の地震活動を示したものです。
図の左側に地震がたくさん起こった時期が、右側にあまり地震が起こらなかった時期が示してあります。
地震のたくさん起こる時期を「活動期」と呼び、あまり起こらない時期を「静穏期」と呼びます。
このように西日本は地震の「活動期」と「静穏期」が交互に繰り返し起こっています。
「活動期」の最後には、例えば1707年の宝永地震のように南海トラフで巨大な地震が起こって「静穏期」を迎えます。
その理由は非常に簡単です。
西日本の地下にはフィリピン海プレートという岩盤の板が南から北に向かって年間4~6㎝の速さで潜り込んでいます。
すなわちフィリピン海プレートが西日本を形成している岩盤の板(ユーラシアプレートと呼ばれています)を押し続けていて、常にストレスを与えています。
ストレスがたまると西日本の岩盤の弱い所がプチッと切れてしまいます。
これが活断層の地震です。
ストレスがたまると切れる、人間と同じです。
ストレスがどんどんたまると、どんどん活断層が切れる、すなわち地震が多発します。
そしてついに我慢の限界に達してユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界、すなわち南海トラフで「大切れ」が起こります。
これが南海トラフの巨大地震です。
2.包囲網が形成されつつある
南海トラフ巨大地震が起こる前にはこのようにたくさんの地震が南海トラフの北側で起こります。
図-2は次の「活動期」に入ったといわれる1995年の阪神・淡路大震災以降西日本で起こったマグニチュード(M)6以上の地震です。
この図からわかるように、南海トラフ巨大地震の震源を囲むように地震が多発しています。
もうすぐ南海トラフが「大切れ」してもおかしくない状況です。
南海トラフの巨大地震はそう遠くないと考えるのが自然でしょう。
残念ながら南海トラフの巨大地震はフィリピン海プレートの動きが止まらない限り、将来も繰り返し起こります。