その69. 南海トラフ巨大地震に備える④
先週は南海トラフ巨大地震が起こったのち、どれくらいの時間で津波が襲って来るかについて書きました。
そしてみんなで助け合って誰もが被災しない時間が十分にあることも書きました。
今週は先週と同じ図を使って津波の高さについて説明します。
最も海水面が高くなるピーク水位は、西浦漁港約2.5m、中関港(中関地区)約2.7m、中関港(三田尻地区)約2.8m、富海漁港約3.1mと想定されています。
ここで注意が必要なのは、これらの数値は津波そのものの高さではないことです。
水位、すなわち満潮時に津波が襲ってきたときの海面の高さです(海抜表示)。
満潮時の平均の高さはこの辺りでは平均1.8mで、これが加えてあります。
したがって、津波そのものの高さは西浦漁港では2.5-1.8=0.7m、中関港(中関地区)では2.7-1.8=0.9m、中関港(三田尻地区)では2.8-1.8=1.0m、富海魚港では3.1-1.8=1.3mということになります。
すなわち津波そのものの高さは太平洋岸の10~20m、場所によっては30m以上に比べるとはるかに低いことが分かります。
しかも干潮時に津波が来たときには、干満の平均海面高さよりも低いことになります。
実は、高潮災害の多い山口県では高潮対策のために、これ以上の高さに堤防が整備されています。
ですから高さ的には津波の心配はいらない、ということになりそうです。
が、そうならないところが災害の難しいところです。
改めて南海トラフの巨大地震による揺れについて書く予定ですが、大きな揺れが3~4分続きます。
そうすると埋め立て地や干拓地、むかし川や池だった地盤の柔らかいところでは液状化が起こります。
そうすると堤防が沈んだり傾いたりすることが考えられ、堤防としての機能が失われる恐れがあります。
次回はその辺のことを説明します。