その67. 南海トラフ巨大地震に備える②
先週は、県全体の南海トラフ巨大地震による犠牲者について書きました。
今週はそのうち防府市の人的被害について紹介します。
表-1は防府市の死傷者の想定結果を原因別にまとめたものです。
比較のために県内で最も人的被害の多い岩国市の結果も示しました。
3段のうち、上段は冬の夕方6時。
暖房や夕食の準備などで最も火を使っている時間帯。
また通勤などで多くの人が移動している時間帯でもあります。
中段は夏の昼の12時。
多くの人が海水浴を楽しんでいる時間帯。
また昼食の準備で火を使っている時間帯です。
1923(大正12)年9月1日の関東大震災がこのタイミングでした。
下段は冬の深夜から未明。
皆さんがよく眠っている時間帯、1995(平成7)年1月17日の阪神・淡路大震災がこのタイミングでした。
ここで、( )内の数値は家具などの移動や転倒によるもので建物倒壊の内数となっています。
また、「その他」とはブロック塀の倒壊、自動販売機の転倒、屋外落下物(看板や割れたガラスなど)によるものです。
3つのケースいずれも0のときは、見やすくするために一つだけ0で示しています。
防府市の人的被害は幸いなことに少なくて、多くが0です。
その0ですが、0は全くのゼロではなく、0.4以下と解釈して下さい。
これらの数値は過去の被害から統計的に式を作って、コンピュータで計算します。
小数点以下を足して「合計」を出していますので、整数で丸めた数値の合計とは異なることがあります。
過去の被害は、ばらつきがありますから、0だからといって安心してはいけません。
油断すると犠牲者が出ることは十分あります。
さて、岩国市は別にして、人的被害はほぼ津波に限られています。
岩国市の被害が大きいのは震源に近いため。
また錦川のデルタ地帯に市街地が広がっており、やわらかい地盤のため震度が大きく、錦川の津波の遡上も大きいためです。
次回は、津波からの犠牲者をゼロにする方法(準備)についてお話しします。