その14. 首都直下地震④
日曜日の夜、「日本沈没」というドラマをやっていて、ブチブチ言いながら見ています。
地球物理学的にも、現在の地球観測システムとその運用に関しても、あまりにもあり得ないことがベースになっているからです。
SF(Science Fiction)ではなく、人間の確執ドラマですね。
第一波だけで関東沈没は終了。
早速復旧復興に取りかかり始めた矢先、だいぶ変わった地震学者の先生から、今度は名古屋方面が沈没、いよいよ日本沈没に・・・。
日本の政府がたった一人の変わった学者の関東沈没予告、終息宣言、そして新たな日本沈没の宣言に振り回される、全く現実にはあり得ないことですね。
と、相変わらずブチブチ。
日本及びその近海には、国の省庁、研究機関、大学が非常に多くの地震をはじめ各種の観測ネットワークを展開していて、多くの研究者が観測に関わっています。
一人の研究者だけに情報が集中するということはあり得ません。
さて、物理的に日本沈没はあり得ないけれども、経済的な日本沈没は大いにあり得ると思っています。
これから関東地方は地震の活動期に入ります。
その前触れが、先月7日のM5.9 の地震のような気がしています。
これからM7クラスの地震がたくさん起こることが考えられます。
その中の一番被害が大きく想定されているのがこれまでお話してきた「都心南部直下地震」です。
付表は平成25年に公表された経済被害と、その前の想定の経済被害を比較したものです。
前回は「東京湾北部地震」という地震で多少「都心南部直下地震」とは位置などが違いますが、ほぼ同じです。
これを単純に見ますと被害が小さくなっているようですが、実は前回の前提条件は風速15m/sとなっています。
それに対して今回は8m/sなので、もし今回の被害想定を風速15m/sとしたら火災の延焼が広くなるので、もっと被害は大きくなるでしょう。
ちなみに、阪神・淡路大震災の被害額が約10兆円、東日本大震災の被害額が約20兆円です。
いかに首都直下地震の被害額が大きいかお分かりと思います。
しかもこれらの被害額は災害直後に出る被害で、地震の影響は長期にわたって経済に悪い影響を及ぼします。
その費用はほぼ直後の被害額に相当すると考えられています。
日本政府はコロナ禍の後は早急にこれら地震対策に本腰を入れなければならないと思います。