その26. 南海トラフ地震臨時情報①

 今週も先週に引き続き「南海トラフ地震臨時情報」について書きたいと思います。

 

 この「南海トラフ地震臨時情報」は、M=6.8以上の地震が南海トラフ巨大地震の震源域で起こったり、大きな揺れや津波は生じないものの、プレートの境界がゆっくりずれる「ゆっくりすべり」などが観測されると、気象庁が「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」を発表し、「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」が招集され検討が行われます。
 その結果、M=8以上の地震であれば「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」、M=7以上の地震あるいは「ゆっくりすべり」だと「同情報(巨大地震注意)」、それ以外だと「同情報(調査終了)」という情報が発表されます。
 以上は先週書いた通りです。

 

 ここで皆さんは以下のような疑問を持たれることでしょう。
 まず、(巨大地震警戒)や(巨大地震注意)が出されたら、一体どうすればいいのか。
 また、M=8以上の地震が起こったのなら、もう南海トラフの巨大地震は起こったのではないか。なぜまた(巨大地震警戒)を出すのか。何に“警戒せよ”というのか。

 

 今週はまず2つ目の疑問に対する回答を説明しましょう。
 実は、南海トラフで起こる地震には様々なパターンがあります。

 

その26. 南海トラフ地震臨時情報①

 

 図は有史以来の南海トラフ沿いで起こった地震が、いつどこで起こったかを示しています。
 このように様々なパターンがあります。
 今国が考えている典型的なパターンは、想定震源域の半分くらいでまず地震が起こり、しばらくして残り半分で地震が起こる(半割れタイプ)、あるいは一部でまず地震が起こり、その後また残りのどこかで地震が起こる(一部割れ)、といったものです。
 このような場合には、M=8クラスの地震が起こったとしても、引き続きM=8クラスの地震が起こる可能性があるのです。
 ですから(巨大地震警戒)を出して、引き続き警戒を呼びかける、というわけです。

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