その19. 海底でいち早く地震と津波をキャッチ①
明けましておめでとうございます。
昨年は拙稿「防災・減災のススメ」をお読みいただき有難うございました。
今年も少しでも皆さんの防災力向上に直接的、あるいは間接的にお役に立つようなことを書いていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
さて、昨年末は宇宙航空研究開発機構、JAXAの地球観測衛星データの防災への活用について書いてきました。
すなわち宇宙からの観測でしたが、これから全く視点を変えて、海底での地震、津波の観測について何回かにわたって書きたいと思います。
まずは南海トラフで起こる巨大地震を一刻でも早くキャッチして、人々の避難を促すための地震と津波の観測網、「DONET」から紹介します。
DONETとは(Dense Oceanfloor Network system for Earthquakes and Tsunamis)の略語で、地震と津波のための高密度海底観測ネットワーク、とでも訳されるでしょうか。
国立研究開発法人・海洋研究開発機構(JAMSTEC)が開発・設置したもので、公式には「地震・津波観測監視システム」と呼ばれています。
JAMSTECはJapan Agency for Marine-Earth Science and Technologyといい、我が国における海洋科学技術の総合的な研究開発機関として、これまでに様々な世界最先端の研究開発活動を行っています。
海底を深く掘って地球の内部を調査する地球深部探査船「ちきゅう」や、6,500mの深さまで潜ることができる有人潜水調査船「しんかい6500」などをご存じの方も多いと思います。
そのJAMSTECが世界に先駆けて設置したのが図に示す「DONET」です。
DONETは「DONET1」と「DONET2」があり、紀伊半島沖東部に展開されている「DONET1」は2011年(平成23年)に、紀伊半島沖西部と四国沖東部、すなわち紀伊水道沖に展開されている「DONET2」は2016年(平成28年)に整備が完了しています。
その名の示す通り、これらの観測システムは地震と津波の観測を行います。
もう少し詳しいその内容の説明は次回以降にしましょう。