その68. 南海トラフ巨大地震に備える③
先週は南海トラフ巨大地震による防府市の犠牲者の想定結果について書きました。
幸いなことに防府市の犠牲者数は他の市町に比べて少ないといえます。
しかしながらこれはあくまでも想定ですから、確実に犠牲者をゼロにする備えをする必要があります。
まず津波による犠牲者の数ですが、実は、地震が起こってすぐ避難する人の割合が20%、しばらくして避難する人が50%、避難しない人が30%という前提条件で算出されています。
この割合は東日本大震災、北海道南西沖地震(1993年7月、津波による犠牲者約200人)、日本海中部地震(1983年5月、津波による犠牲者100人)の調査結果を参考にしたものです。
避難しない人の割合が30%、ということは津波が襲って来る可能性のある地域にいる人全員が、地震が起こってすぐに避難すれば、犠牲者の数はずっと少なくできるはずです。
では避難できる時間があるのでしょうか?
図は防府市内の主な港における津波の想定時刻歴です。
縦軸は海面の高さ(水位)、横軸は地震が起こってからの経過時間です。
西浦漁港の水位がピークになるのは地震発生後142分(約2時間20分)後、中関港(中関地区)307分(約5時間)後、中関港(三田尻地区)126分(約2時間)後、富海漁港133分(約2時間10分)後となっています。
最も早く第一波が押し寄せてくる中関港(三田尻地区)でも2時間以上の時間があります。
これだけの時間があれば慌てることなく、お年寄りや身体の不自由な人、寝たきりの人もみんなで助け合って避難することができます。
例えば、車を使って避難をするにしても、事前に計画を立てておけば渋滞を起こすことなく安全に避難できます。
大切なのはその体制を作っておくことです。
来週は津波の高さについて説明します。