その9. 山口県土木防災情報システム③

 先月9月17日の夜、台風14号が山口県へ最接近しました。
 事前には最接近と満潮時が重なる可能性があるので、高潮に注意、と報道されていましてので、私は「山口県土木防災情報システム」の「潮位情報」を見ていました。

 

その9. 山口県土木防災情報システム③

 

 図の左側は17日19時45分時点での「潮位情報」の宇部港における「潮位・気圧」の画面です。
 図にはそれまでの潮位の変化、気圧の変化、これからも含めて天文潮位の変化、併せて高潮警報基準、高潮注意報基準が示してあります。
 その下のグラフは潮位偏差と言って、台風による実際の潮位と天文潮位の差が示してあります。

 

 図の右側には台風最接近が過ぎた同日21時07分時点の「潮位・気圧」の画面です。
 図にも書いていますが、台風最接近の時の偏差は20数㎝で、幸いなことに高潮注意報基準にも至りませんでした。
 防府市の中関港の潮位もほぼこれと同様と想像できます。

 

 高潮災害と言えば、平成11年(1999年)台風18号による被害を思い出す方も多いと思います。
 山口県の瀬戸内海沿岸は高潮と高波によって大変な被害を受けました。
 山口県内の多くの港湾をはじめ沿岸の護岸構造物が破壊されました。
 この時の宇部港における偏差は211㎝で、今回の台風14号の約10倍ありました。

 

 今回はなぜ偏差が小さかったのでしょうか?
 その主な理由は以下の3つが考えられます。

 

①気圧が今回は990hPa。台風18号の時は960hPaで約30hPa高かった。この気圧の差によって約30㎝の偏差の差が生じたと考えらえる。(1hPaで約1㎝の偏差が生じる)『吸い上げ効果』
②風速が台風18号ほど大きくなかった。
③また台風14号は西から東へ進んだため南風が吹き、瀬戸内海の幅が狭く、海水が吹き寄せられる距離が短かった。一方の台風18号は南南西から北北東へ進んだため東風が瀬戸内海の長い距離の海水を吹きよせた。『吹き寄せ効果』

 

 今回は幸いなことに高潮による被害は出ませんでしたが、このように台風接近時にこの画面を見ることによって、数時間前から高潮に対する危険性を知り、備えることができます。

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