その62. 首都直下地震⑧
今週も引き続き「都心南部地震」による被害の話をします。
表‐1は先週も示した人的被害ですが、先週に比べて要因を3つに簡単にしています。
この中で、自力脱出困難者とは家屋の倒壊等によって閉じ込められてしまう人のことです。
その数は冬の早朝がもっとも多く、約35,000人と想定されています。
このほか、避難者数が最大で約300万人(地震後4日~1週間)、帰宅困難者数が最大で約450万人と想定されています。
地震直後の死者数は、季節と時間によって異なり、最大が冬の夕方6,148人です。
これだけでも大変な数ですが、問題は自力脱出困難者、避難者、帰宅困難者です。
まず自力脱出困難者ですが、救助活動が遅れるとこの人たちは命を失っていきます。
よく72時間が生存したまま救出できる限度と言われていますが、日本家屋は倒壊すると生存できる空間がほとんどありません。
実際阪神・淡路大震災の例では、24時間で急激に生存率が低下しています。
救助活動には道路が使え、火災の延焼を防ぐための水が不可欠です。
そこで表-2にライフラインの被害想定結果を示します。
道路の被害想定は橋の被害だけが考慮されています。
その結果が9.4%。これだけでまず道路は使えないでしょう。
さらには建物が道路に倒壊する、液状化が起こる、交通事故を起こした車が道路にあふれる、と言ったことは想定に入っていません。
たとえ道路が使えたとしても断水率は26.4%、これでは消火活動も思うようにできないでしょう。
通信の不通回線率は4%とありますが、地震直後は通話が殺到してまず通話はできません。
ということはどこに閉じこめられた人がいるか、ということも掴めません。
残念ですが、閉じ込められた人たちの多くは命を落とすことになるでしょう。
救助活動だけではなく、物資の輸送も困難を極めるでしょう。
約300万人の避難者、約450万人の帰宅困難者の食料、水などは確保出来るでしょうか?
またトイレはどうなるのでしょうか?