その126. 南海トラフ巨大地震山口県死傷者ゼロプロジェクト⑦
先週示した防府市の主な港のうち、三田尻中関港(三田尻地区)津波の時刻歴を図の左側に示します。
この図で注意が必要なのが、水位がT.P.ということです。
このT.P.というのは東京湾の平均海面高さ(Tokyo Peil)で、標高でもあります。
グラフをよく見ると、時間0分(地震が起こった時)の水位は0mではなく、約1.6mとなっています。
そしてそのままずっと満潮が続いている状態で、津波がやって来て海面が上下に変化している様子を示している、ということは先週書きました。
すなわち“満潮時に”津波の第一波がやってきたとき(約120分後、図中の矢印)の水面高さは約2.7mということをこの図は示しています。
では、満潮時以外だったらどうなるか。
その場合は当然2.7mよりも低くなるはずです。
そのことを考える時、私は山口県土木防災情報システムの「潮位情報」の「潮位・気圧グラフ」を見ます。
その三田尻港の例を図の右側に示します。
図中の「T.P.=0m」、潮位約1.8mにある水平の直線などは私が加えたものです。
この図で注意しないといけないのは、縦軸の潮位がC.D.L. となっていて、左図の津波水位の時刻歴T.P.と縦軸の単位が違うことです。
このC.D.L.は最低水面と言い、海図に記載されている水深の基準面で、港ごとに異なっています。
ちなみに三田尻中関港の場合、T.P.=0m は C.D.L.=1.8mに相当します。
右の図から満潮時はT.P.で約1.6mです。
左図の120分後のピーク水位約2.7mから満潮時の水位約1.6mを引くと1.1m、これが津波そのものの高さになります。
したがって、三田尻中関港の場合は、天文潮位にこの約1.1mを加えたものが津波が来た時の潮位ということになります。
例えば右の図をコピーしたのが3月28日の午後4時41分です。
ちょうど干潮時で、T.P.=-1.6mです。
この時津波の第一波が到達したら(約2時間前に地震が起こって)、T.P=-1.6mに津波の高さ1.1mを加えると水位は-0.5mになり、平均潮位よりも低い状態ということになります。
このように津波の時刻歴と潮位グラフを使って、潮の満ち引きを考えた実際の津波の高さを推定することができます。