その50. 線状降水帯予測①
観測史上最も早く梅雨が明けたかと思うと、再び梅雨のような天気が続き、「線状降水帯」も次々に現れて、今も豪雨が全国各地を襲い、被害が続出しています。
「線状降水帯」という言葉、最近ではすっかりポピュラーになりましたが、その“予測”がこの6月1日から気象庁より出されることになりました。
すごいことだと思います。
親しくして頂いていたNHK解説委員のIさんからだいぶ前に聞いた話を思い出しました。
深夜のNHKの天気予報でのことです。
酔っぱらってマイクに向かったアナウンサー、「明日は明日の風が吹くでしょう」とやったそうです。
今だったらとんでもないことになったでしょう。
昔はおおらかだった、とも言えますが、それくらい天気予報は当たらなかったということの裏返しでもあるのでしょう。
局所的な強い雨を予測し、それを公表するということは、雲の動きを気象衛星「ひまわり」で見るだけでは到底できない、大変な科学技術の進歩があって初めてできることなのです。
その科学技術の話は次回以降に譲り、まずは線状降水帯がどのようにできるかを説明しましょう。
図は気象庁ホームページ「線状降水帯に関する各種情報」にある図です。
それによりますと、線状降水帯は以下のように発生するようです。
①大気の低い層で大量の暖かく湿った空気の流入が続く。
②局所的な前線や地形などの影響でその空気が上昇し積乱雲が発生する。
③湿った大気の状態が不安定な中でさらに積乱雲が発達。
④上空の別の風の影響で積乱雲が線状に並び続け、強い雨を降らし続ける。
線状降水帯による豪雨災害と言えば、2014年(平成28年)8月の広島豪雨災害が有名ですが、この時の大気の状態はまさにこの通りでした。
その話は次回に。