その16. 宇宙から地球を観測②

 先週は人工衛星で地球を観測するセンサーには二種類あることを説明しました。
 一つは「光学センサー」といって、太陽光の反射波のうち可視光、すなわちR(赤)G(緑)B(青)と言われている光の三原色、および赤外線を観測するセンサー、もう一つは「マイクロ波センサー」といって、人工衛星自身がマイクロ波を地上に向けて照射し、その反射波を観測するものです。
 それぞれ長所と短所があり、実際にはこれらを組み合わせて使うことが有効、ということを書きました。

 

 現在JAXAが運用しているのはマイクロ波センサーのみを搭載した「だいち2号」だけですが、その前の地球観測衛星「だいち」は光学センサー、マイクロ波センサーの両方を搭載していました。
 東日本大震災の約5年前に打ち上げられ、貴重な東日本大震災の被災地の様子をたくさん撮影し、衛星データの防災・減災利用に関する研究を大いに進めてくれました。
 しかしながら残念なことに同年5月末に突然寿命が来てしましました。
 私なんかは東日本大震災の撮影に頑張りすぎて、突然寿命が来てしまったのかな、なんて感じています。

 

 さて、今年度中に「だいち3号」が打ち上げの予定です。
 「だいち3号」は光学センサーを搭載しています。
 この衛星のすごいのは、解像度が80㎝のカラー画像を撮影することが可能ということです(「だいち」は2.5m)。

 

その16. 宇宙から地球を観測②

 

 しかも南海トラフの巨大地震発生後の太平洋沿岸を撮影するためにセンサーを傾けて、図に示すように一度の軌跡(パス)で非常に広い範囲の観測を可能としています。
 そのほかにも優れた機能が装備されています。
 今年度内に打ち上げ後、約半年かけて様々なチェック(校正)が行われ、一般に使われ始めるのは来年の夏ころからではないでしょうか。
 「だいち2号」と「だいち3号」が運用されると防災上非常に有用な情報が入手でき、多くの人命を救うことにつながると期待しています。

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