その88. 風水害への備え⑥

 先週は、ことし4月に公表された高潮ハザードマップと、2009(平成21)年に公表された前回のものとの違いについて説明しました。
 想定した台風の中心気圧は前回が935ヘクトパスカル、今回が910ヘクトパスカルです。
 これらの台風がどれくらい強烈なのか、山口県がかつて大きな被害を受けた1942(昭和17)年の周防灘台風と、1999(平成11)年の台風18号とで比較してみます。

 

その88. 風水害への備え⑥

 

 表は、2つの台風の各種データをまとめたものです。
 周防灘台風では、全国の犠牲者が1162人に対して、山口県では794人となっています。
 特に宇部市の厚南地区では約300人の犠牲者が出ています。

 

 一方、台風18号では、県の瀬戸内海沿岸で大変な被害が出て、山口宇部空港(宇部市)も大きな浸水被害を受けました(写真)。

 

その88. 風水害への備え⑥

 

 表中の「潮位偏差」とは、台風による気圧の低下に伴う海面上昇と、吹き続ける強風によって海水が風下に吹き流され、それが陸などによってせき止められて生じる海面上昇を足したものです。
 ちなみに、気圧1ヘクトパスカルの低下に伴う海面上昇は約1センチです。
 周防灘台風の気圧が950ヘクトパスカル、台風18号は960ヘクトパスカルですから、今回想定している台風の気圧が910ヘクトパスカルということは、それだけでも海面が40~50センチ高くなり、これに強烈な風による海面上昇が加わりますので、大変な高潮になることは容易に想像できます。

 

 

 

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