その20. 海底でいち早く地震と津波をキャッチ②

 南海トラフで起こる巨大地震を一刻でも早くキャッチして、人々の避難を促すための地震と津波の観測ネットワーク、「DONET」の内容をもう少し詳しく紹介しましょう。

 

 「DONET」には、紀伊半島沖東部に展開されている「DONET1」と、紀伊水道沖に展開されている「DONET2」があり、開発と設置は海洋研究開発機構(JAMSTEC)が行なったことは前回書きました。
 「DONET1」は2011年7月から20点で本格運用が、「DONET2」は2016年3月から29点で本格運用が開始されました。
 現在、「DONET1」は2点増強されて、「DONET1」、「DONET2」合計51観測点で運用されています。
 現在「DONET」は海洋研究開発機構から国立研究開発法人 防災科学技術研究所に移管、運用されています。
 この防災科学技術研究所はいわば日本の防災に関するメッカで、「防災科学技術に関する基礎研究及び基盤的研究開発等の業務を実施することにより防災科学技術の水準の向上を図ること」を使命に様々な観測、研究、社会実装などを行っています。

 

 さて「DONET」ですが、各観測点は、小さな振動や大きな振動、地殻変動のようなゆっくりとした変動から地震のような激しい振動まで「地動センサーシステム」であらゆる種類の振動をキャッチするとともに、「圧力センサーシステム」で水圧、温度などを計測しています。
 「圧力センサーシステム」はわずかな水圧の変化をキャッチし、津波による波の高さを迅速にかつ精度よく計測することができます。

 

 もし「DONET」のセンサーが劣化、あるいは故障すれば海中ロボットを使って交換することができ、 今後の研究が進んで観測点の増設や位置の変更が必要になれば再設置が可能など、拡張性にも優れており、近い将来必ず起こる南海トラフの巨大地震に備えています。
 「DONET1」の観測データは三重県尾鷲市の陸上局に、「DONET2」の観測データは徳島県海陽町の陸上局と高知県室戸市の陸上局に伝送されて、データ処理されたのち、すぐに防災科学技術研究所はじめ、気象庁や海洋研究開発機構、大学等の各研究機関に送られています。

 

その20. 海底でいち早く地震と津波をキャッチ②

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