その12. 首都直下地震②

 首都直下地震の候補として19の地震を対象に被害想定を行い、それら19の地震の中で最も被害が大きいのが、「都心南部直下地震」であること、そしてその地震が起こった時には、地盤の柔らかい東京湾の沿岸部、そして荒川水系や多摩川水系周辺では内陸の方まで高い震度が分布していること、等を先週書きました。

 

 この地震が「冬・深夜」(多くの人が寝ている時間帯)、「夏・昼」(多くの人が町中にいる)、「冬・夕」(火を多くの場所で使っている)の3つの時間帯に起こったとして、死亡の原因ごとにまとめられたのが付表です。

その12. 首都直下地震②

 

 この表によると、建物の倒壊等による死者は「冬・深夜」が最も多く約11,000人、そのうち家具や什器等の屋内の物の転倒や移動による犠牲者が約1,100人、急傾斜地崩壊による死者も「冬・深夜」が最も多く約100人、火災による死者は「冬・夕方」が最も多くなっています。
 火災による死者は風速によって延焼範囲が違ってきますので、風速が大きい方が沢山の人が亡くなり、風速が8m/sの時は約8,900人~16,000人となっています。
 そのほかブロック塀や自動販売機の転倒なども「冬・夕」が最も多く、約500人となっています。
 これらを合計した数字は、「冬・夕」で、最悪の場合、23,000人という結果になっています。

 

 ここで注意が必要なのは、表の一番下の欄で、壊れた建物に閉じ込められ、自力で脱出できない人の数です。
 冬の深夜は72,000人と想定されています。
 救助が進まない場合、残念ながらこの数字は死者の数字に加算されることになります。

 

 死者数合計の数字にこの自力脱出困難者の数を加えると、「冬・深夜」で約90,000人、「冬・夕」で約81,000人、最も少ない「夏・昼」でも約60,000人以上となります。
 ちなみに1923年に起こった関東大震災(M=7.9)では約105,000人の人が亡くなり、その約70%が火災による犠牲者となっています。
 都心南部直下地震の想定マグニチュードが7.3ですから、関東地震よりもエネルギーは約8分の1の地震になります。
 それでも関東大震災に匹敵する多くの人が犠牲になることをこれらの数字は示唆しています。

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