その34. 西日本の地震の長期予測①
この3月25日、政府・地震研究推進本部から「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価」(第二版)が公表されたことは「その32」で少し触れました。
今週と来週はその内容について紹介したいと思います。
この調査評価は、日本及びその周辺の海域をいくつかのブロックに分けて、そのブロックごとにそこで起こった過去の地震を調査し、今後どの程度の大きさ(マグニチュードM)の地震がどれくらいの確率で起こるかを計算したものです。
今回は、図の「日向灘」、「南西諸島周辺」、「与那国島周辺(台湾のすぐ近くまで)」の評価結果を紹介したいと思います。
まず「日向灘」から。
1600年以降、この日向灘を震源域とするM8クラスの巨大地震は発生していません。
ただ、この領域内で発生した1662年の地震(M7.6)は巨大地震であった可能性もあるようです。
一方、M7クラス(M7.0~7.5)の地震は1919年以降の103年間に5回発生しているため、発生頻度を20.6年に1回として確率的に計算をし、図のように発生確率が求められました。
次に「南西諸島周辺」。
前回、前々回のお話の津波を起こした八重山地震はここで起こっています。
与那国島周辺も含めてこの海域では1600年以降M8クラスの地震は1回発生しています。
ただし非常に広い海域であることと回数が少ないことなどから発生確率は不明ということになっています。
M7クラス(M7.0~7.5)の地震は1919年以降の103年間に4回発生していますが、いくつかの理由でやはり発生確率は不明としています。
最後に「与那国島周辺」。
ここでは1919年以降の103年間にM7.0以上の地震が12回発生しているため、発生頻度を8.6年に1回とし、確率的に計算をして、図のように発生確率を算出しています。
これより、10年以内に地震が起こる確率は70%以上、20年以内では90%程度となっており、非常に確率が高くなっています。
山口県からは遠く離れていますが、注意は必要ですね。