その4. 安芸灘・伊予灘の地震
1.地震が起こった場所
この前のシリーズ、「防災マップ深読み」の「その15、16」で、いつ起こってもおかしくない地震として、「南海トラフの巨大地震」と「安芸灘・伊予灘の地震」を挙げ、防府市における震度について書きました。
図-1は安芸灘・伊予灘で発生したマグニチュード(M)6以上の、記録が残っている地震の震央です。
大きな〇はM7クラス、小さい〇はM6クラスです。
M7クラスの地震が5つ、M6クラスの地震も5つ起こっています(最も最近起こった地震は1979年に起こった地震のすぐそばの星形で示しています)。
この中で特に広島、呉で被害の大きかったのが1905年のM7クラスの「明治の芸予地震」です。
また最近の被害地震は2001年に広島県、愛媛県を中心に被害が出、山口県でも周防大島町で被害が出た「平成の芸予地震」です。
2.地震によって放出されたエネルギー
図-2はこれら10個の地震によってどれくらいのエネルギーが放出されたかを示したものです。
もっとも古い記録の①番目の地震が1649年、②番目の地震が1686年、その後しばらく地震がなくて、③番目の地震が1854年、そしてすぐに④番目の地震が1857年に起こっています。
⑤番目の地震が1903年に起こっていますが、この地震はM6クラスでエネルギーはほとんど放出されていません。
そして⑥番目の1905年の明治芸予地震が起こっています。
その後4つ地震が起こっていますが、いずれもM6クラスでほとんどエネルギーが解放されていません。
この図を見ると少しいびつですが階段状になっていて、階段の先端を結ぶとほぼ一直線になることが分かります。
図には破線で示しています。
多分これがこの海域の海底下にフィリピン海プレートが潜り込むことによって蓄えられるエネルギーの割合と考えられます。
このようにみると、この海域にはM7クラスの地震のエネルギーがたまっていて、いつM7クラスの地震が起こってもおかしくない状態であることが分かります。