その36. 安芸灘~伊予灘の地震

 前回、山口県にとって、「安芸灘~伊予灘」のM7クラスの地震と、「南海トラフ」のM8クラスの地震はいつ起こってもおかしくないので備えておく必要がある、と書きました。
 今回は「安芸灘~伊予灘」のM7クラスの地震についてもう少し詳しく説明します。

 

 山口県、広島県、愛媛県、大分県で囲まれた瀬戸内海の「安芸灘~伊予灘」の海域で、記録が残っている最も古い地震は1649年、現在の伊予市と大洲市の沖合で起こったM7の地震です。
 その後、M6以上の地震が、2014年3月のM6.2の地震まで10回あります。

 

その36. 安芸灘~伊予灘の地震

 

 図はこれら10回の地震でどれくらいのエネルギーが放出されたか(専門的には解放と言います)、その解放エネルギーを縦軸に、地震の発生年を横軸にとって描いたものです。
 この図からわかるように、両者の関係は階段状になっており、その階段の先端はほぼ一直線になります(図中の斜めの破線)。

 

 この海底下ではフィリピン海プレートが大陸プレートの下にもぐり込んでおり、その境界でこのように繰り返し地震が起こっています。
 そして、図中の斜めの破線の傾きはこの海底下でフィリピン海プレートの動きによって地震を起こすエネルギーが蓄積される割合と考えられます。

 

 地震がしばらくないとエネルギーが蓄積され、限界に達すると地震が起こり、蓄積されたエネルギーが解放される、それが繰り返されていることが分かります。
 そのような目で図を見ると、1905年の明治の芸予地震以後、地震が4回(⑦~⑩番目)起こっていますが、これらはいずれもM6クラスで、地震エネルギーは十分解放されておらず、相当たまったままになっていることが分かります。
 その量はM7クラスです。
 しかもこの図から見て、いつ起こってもおかしくない状況であるといえます。
 安芸灘~伊予灘でM7クラスの地震が起こった時の防府市内の震度分布は、このシリーズの前の「防災マップ深読み、その16」で紹介していますが、来週は再度そのお話をしましょう。

トップへ戻る