その65. 首都直下地震⑪

 引き続き首都直下南部地震の被害想定について。

 

その65. 首都直下地震⑪

 

 図は震源となる断層の位置と大きさ、および震度分布です。
 地震のマグニチュード(以下、M)は7.3、ちょうど阪神・淡路大震災と同じMです。
 強い地震が揺れ続ける時間(継続時間と言います)は阪神・淡路大震災の時が約13秒。

 

 一方、東京湾は地下の深いところに硬い岩盤がお椀のようにあり、そのお椀の中に新しい柔らかい地盤が深く堆積しています。
 したがって、同じMでも阪神・淡路大震災よりも強く、長く揺れることが考えられます。
 震度6強以上の範囲は区部の約6割に広がります。

 

 被害想定では、死者が冬の夕方、風速8m/秒の時で約6,100人、うち建物全壊による死者約3,600人、火災による死者約2,500人となっています。
 このほか避難者が約300万人、帰宅困難者が約450万人となっています。

 

 以上の数字は、数字で表されるものだけを用いて計算されています。
 実際には地震被害は非常に複雑で、数字に表されない要素がたくさんあります。
 以下に入っていない例を。

救急活動や消火活動、物資の輸送に欠かせない道路。

被害想定に考慮されているのは橋梁部分の落橋や亀裂、橋脚部分の亀裂等の被害箇所数であり、道路への建物倒壊、火災の延焼や土砂崩れによる道路の閉塞、交通事故による通行不能等の影響は入っていません。

鉄道の被害も同様に高架橋及び橋梁を対象とし、沿線の建物倒壊、延焼火災に伴う架線の焼失、土砂崩れによる線路の閉塞、走行中の電車の脱線事故等の影響は入っていません。
停電の想定には、発電所、変電所、および基幹送電網などの拠点的な施設・機能の被災は入っていません。
水道の被害では、水道管路以外の浄水施設などの基幹施設や、受水槽や給水管など利用者の給水設備の被災は入っていません。
通信に関しては、通信ビルなどの拠点施設や携帯電話基地局の被災、非常用電源の喪失等の被災は入っていません。

 などなど。
 これらのことを考えると、とても死者が約6,100人で済むとは思えません。
 東京へ行かれるときは、どうぞ気を付けて。

 

 

 

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