その146. 南海トラフ地震臨時情報①
前回まで東京都の被害想定のことを書いてきました。
それに対して東京都がどのような対策を立てているか、をこれから書こうとしていた矢先、8月8日に日向灘でマグニチュード7.1 の地震が発生し、初めて「南海トラフ地震臨時情報『巨大地震注意』」が出されました。
多分ほとんどの人が初めて聞かれたのではないでしょうか。
ある人からテレビのニュースを見て、私に電話。
「テレビで言ってることはさっぱりわからん。一体どういうことなんじゃ?」
実は、この「防災・減災のススメ」のその24~28で「南海トラフ地震臨時情報」について書いていますが(そういう意味では、先見の明があった?)、改めて説明したいと思います。
今回の報道を見ていて気になる点が2点ありましたので、まずはそちらから。
その1。
南海トラフの巨大地震が起こる前には、必ず「南海トラフ地震臨時情報」が出されるものと勘違いされたのではないか。
詳細は次回書きますが、図に示すように南海トラフで起こる地震は、いつも断層域全域が一挙に破壊するわけではなく、むしろ分かれて起こることが多いのです。
そこで断層域内のどこかで地震が起こったら、次の地震に注意を促すために出されるのがこの情報なのです。
一番の問題は、一気に断層域全域が破壊する時です。
この時は「南海トラフ地震臨時情報」は出せません。
なんの情報もなしに、いきなりM8~9の巨大地震が起こるわけです。
その2。
「南海トラフ地震臨時情報『巨大地震注意』」が出され、1週間はM8クラス以上の巨大地震が起こる可能性が“相対的に”高まっているので、注意しましょう、という言い方。
これだと一週間たてば地震の起こる可能性が低くなり、安心できるよう感じられます。
このことは次々回書きますが、決して安心してはいけません。
時間とともに巨大地震の発生する確率は高くなります。
したがって、1週間過ぎても、着実に備えを充実しなければいけません。