その147. 南海トラフ地震臨時情報②
「南海トラフ地震臨時情報」ですが、南海トラフ沿いで大規模な地震が起こる可能性が平常時と比べて高まったと考えられる場合に、気象庁から発表されます。
この「南海トラフ沿いで大規模な地震が起こる可能性が平常時と比べて高まったと考えられる場合」とは具体的には以下の様な場合です。
①M=6.8以上の地震が南海トラフ巨大地震の震源域で起こった場合
ここでなぜM=6.8以上かというと、本来ならばM=7以上で情報を出すのですが、Mの算出には0.2くらいの誤差があるので、安全を見て6.8以上としているわけです。
②大きな揺れや津波は生じないが、プレートの境界がゆっくりずれる「ゆっくりすべり」が観測された場合。
このような現象が起こると、気象庁が「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」を発表し、「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」が招集され検討が行われます。
図はその流れを示したものです。
検討結果、M8以上の地震であれば「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」、M=7以上の地震あるいは「ゆっくりすべり」だと「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」、それ以外だと「南海トラフ地震臨時情報(調査終了)」という情報が発表されます。
今回はM=7.1だったので真ん中の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が出されたということになります。
ちなみに、M=8以上地震の場合には、震源域の半分近くが破壊しますので「半割れ」とも言われ、残り半分の破壊の可能性が非常に高くなります。
実際、1854年の安政の地震の時には東半分がまず破壊し、32時間後に西半分が破壊。
1944年の昭和東南海地震の時には東海地震の震源域を除く東側が、その2年後の1946年には西側が破壊(昭和南海地震と呼ばれています)、いずれも大変な被害が生じています。
断層全域が一気に破壊した時と同様、半割れの時に破壊した方は「南海トラフ地震臨時情報」が出されることなく、いきなりM=8クラスの地震が襲ってくることになります。