第五十一段:災害情報の収集を ~台風被害を防いだ八ッ場(やんば)ダム~
私は60年近きにわたってカープファンで、「巨人・大鵬・卵焼き」と言われた時代、男の子はみんな「G」の野球帽をかぶっていたのに、私にはかぶる帽子がありませんでした。
ちなみに相撲は柏戸ファンで、よく大鵬に負かされました。
それと同様に、カープもジャイアンツによく負かされていました。
一番強いものをなんとなく好きになれない、私はちょっと変わった少年でした。
それがなんということでしょう、今や「カープ女子(じょし)」なる言葉が生まれ、コロナ禍の前の一昨年までは、どこの球場もスタジオは半分以上がカープファンで真っカッカ。
カープのホームグランド、マツダ・ズームズーム・スタジオでは球場全体が真っカッカで、3塁側の一番ホームから遠く高く離れた隅っこの一角で対戦チームの応援団が寂しそうに応援をしていました。
スタジオから広島駅へ向かう道は「カープ女子」であふれていました。
多くの人から本当の姿を知ってもらえず、誤解をされることもあり、山の中にじっと身を隠していたダムが、これもなんということでしょう、数年前から「ダム女(じょ)」なる言葉が生まれ、ダム大好き女性が全国のダムを訪ねて歩く、と言う現象が起こりました。
その「ダム女」なる女性をテレビで最初に見たとき、「え、こんな年齢の人を『ダム女』は受け入れることになったの?社会人入学?」と思いました。若き日を京都でしばらく過ごした私には、「ダム女」とは「京都ノートルダム女子大学」の女子学生のことだったのですから。
ダムのことを知ってもらおうと、国土交通省や農林水産省などが「ダムカード」なるものも発行して、ダムの広報をし、徐々にダムの本当の姿が分かってもらいつつあります。
自民党から民主党へ政権が交代したとき、公共工事が見直され、その矢面に立たされたのはダムでした。まるでダムは悪の権化のようで、かなり工事が進んでいた群馬県の「八ッ場(やんば)ダム」は工事の中止が決まり、まさにスケープゴートでした。
地元知事や下流の市長、町長さん達が洪水の危険を感じて建設を強く望んでいたにもかかわらず、です。
しかしながら政権が再び代わって、地元知事や市長さんたちの声が届き、工事を再開、2020年(令和2年)3月に完成、4月1日より運用が開始されました。
その半年前の2019年10月、台風19号が東日本の各地に大きな被害をもたらしました。
ちょうどその時、八ッ場ダムはダム本体の工事は終了、水をためる試験(湛水試験)中で、水位が低かった時(ちょうど事前放流をした時と同じ状態)に、台風による豪雨をこの八ッ場ダムが受け止め、災害を防ぐことができました(写真)。
間にあって本当によかったと思います。